今日の問題は
A所有の甲土地について,Aは,BからBの取引上の信用のために,甲土地の所有権を仮想譲渡するように依頼を受け,Bへの所有権移転登記を了した。この場合において,Bの死亡によりその単独相続人として所有権移転登記を了したCが,仮想譲渡について善意のときは,Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
こ、甲先生!?
甲 ニューオータニなんちゃって!
乙 民法94条1項は
「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」
同条2項は
「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」
と、規定しています。
最判昭和42年6月29日は
「民法九四条二項…にいわゆる第三者とは、虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者をいう」
と、判示しています。
「896条は,『相続人は,相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する』として,包括承継主義の原則を規定している…。
…相続人に承継される『権利義務』には,…法律関係ないし法的地位というべきものも含まれる。例えば,契約の申込を受けた地位,売主の担保責任を負う地位,契約や取得時効における善意者・悪意者などの地位,契約上の地位に伴う取消権・解除権などの形成権なども相続人に承継される。」
前田ほか
『民法Ⅵ 親族・相続』2010年、有斐閣
『民法Ⅵ 親族・相続』2010年、有斐閣
249-250頁
したがって、上記記述は、誤りです。