刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 145

乙:今日の問題は


AがBの財産を無権限でCに売却した場合,Bが後にCに対してAの処分を追認しても,AはBに対する不当利得返還責任を免れない。


甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:ブライトクリスマスもよろしく。

乙:民法116条本文は

「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。」

同法703条は

「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(中略)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」

と、規定しています。


最判昭和37年8月10日は

「或る物件につき、なんら権利を有しない者が、これを自己の権利に属するものとして処分した場合において真実の権利者が後日これを追認したときは、無権代理行為の追認に関する民法一一六条の類推適用により、処分の時に遡つて効力を生ずるものと解するのを相当とする(大審院昭和一〇年(オ)第六三七号同年九月一〇日云渡判決、民集一四巻一七一七頁参照)。」

最判平成23年10月18日は

「無権利者を委託者とする物の販売委託契約が締結された場合に,当該物の所有者が,自己と同契約の受託者との間に同契約に基づく債権債務を発生させる趣旨でこれを追認したとしても,その所有者が同契約に基づく販売代金の引渡請求権を取得すると解することはできない。なぜならば,この場合においても,販売委託契約は,無権利者と受託者との間に有効に成立しているのであり,当該物の所有者が同契約を事後的に追認したとしても,同契約に基づく契約当事者の地位が所有者に移転し,同契約に基づく債権債務が所有者に帰属するに至ると解する理由はないからである。仮に,上記の追認により,同契約に基づく債権債務が所有者に帰属するに至ると解するならば,上記受託者が無権利者に対して有していた抗弁を主張することができなくなるなど,受託者に不測の不利益を与えることになり,相当ではない。」

と、判示しています。

本件では、Bは財産の所有権を失い、Aは財産の対価を取得します。

Aの利得は、「法律上の原因」(703条)を有するか。

「法律上の原因」(同条)がないとは、公平の理念に照らして当事者間において正当なものとするだけの実質的・相対的な理由がないことを言います。

権利者Bが財産の所有権を失い、Bが取得するはずの対価を無権利者Aが取得したことには、上記理由がないです。

「法律上の原因」(同条)がないため、BはAに対して不当利得返還請求権を有します。

したがって、上記記述は、正しいです。

(交通費かかるからなぁ