乙:フィフスタワーお疲れ様でした。
今日の問題は
Aは,Bとの売買契約に基づき,所定の期日にB方に赴き甲動産を提供して代金の支払を求めたが,Bは,甲動産が期待したものとは違うとして,これを受け取らず,代金の支払も拒絶した。本件売買が種類物の売買であり,甲動産に原始的な瑕疵があった場合,Aが甲動産を選択するにつき善良な管理者の注意義務を尽くしていたときは,Bは,甲動産を受領した上で損害賠償を請求することはできるが,瑕疵のない物の給付を請求することはできない。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:旧司の問題だね。。
乙:民法493条本文は
「弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。」
同法401条2項は
「前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。」
同条1項は、債権の目的物を種類のみで指定した場合について、定めています。
「種類債権とは,特定銘柄のビール1ダースというように,同じ種類の物の一定数量の引渡しが目的とされる場合であり,その目的物は種類物と呼ばれる.これに対し,不動産や美術品のように,その物の個性に着目して引渡しの対象とされた物を特定物といい,特定物の引渡しを目的とする債権を特定物債権という」
内田貴『民法Ⅲ』16頁
種類物売買において、債務者が提供した目的物に瑕疵があった場合、債務者が目的物を選択するにつき善良な管理者の注意義務を尽くしていたとしても、「債務の本旨に従っ」た弁済の提供(493条本文)とはいえません。この場合、債務者は、「物の給付をするのに必要な行為を完了し」(401条2項)ていません。そのため、目的物は提供した物に特定しません。
本件売買が種類物の売買であり、甲動産に原始的な瑕疵があったため、BはAに対し、本件売買に基づき、瑕疵のない物の給付を請求することができます(493条本文)。
したがって、上記記述は、誤りです。