刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 299

乙:今日の問題も、旧司法試験からです。

昭和52年2月1日,甲は乙に対し,名画一点を代金100万円,引渡しは2月10日に甲の自宅で行う約定で売渡す契約を結んだ。
2月10日,甲は名画の引渡の準備を完了して自宅に待機していたが,乙は代金の準備ができなかったので甲方を訪れなかった。
2月12日,甲は電話で乙に対して売買契約を解除する旨を告げた上,丙に対して名画の転売方を依頼してこれを引き渡した。
2月17日,乙は甲方を訪れ,代金100万円を差し出して,名画の引渡を要求したが,甲がこれに応じなかったので,その場で直ちに売買契約を解除した。
甲が名画を昭和52年2月12日,丙に引き渡した時点で履行不能となり,乙の代金債務は消滅した。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:シャカタクさいこー!


乙:民法656条は

「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。」

同法643条は

「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」

同法178条は

「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。」

と、規定しています。

甲は丙に対して名画を売っていません。そのため、丙は「第三者」(178条)に当たりません。

甲が名画を昭和52年2月12日,丙に引き渡した時点で履行不能になりません。

したがって、上記記述は、誤りです。