刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 688

乙:また、20%OFFクーポンをもらいました。

今日の問題も、2問あります。

イ.対抗要件を備えた集合動産譲渡担保権の設定者が,その目的とされた動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をし,その動産を占有改定の方法により買主に引き渡した場合,買主はその動産の所有権を取得することができる。
エ.不動産が譲渡担保の目的とされ,譲渡担保権の設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記がされた場合において,その譲渡担保権に係る債務の弁済により譲渡担保権が消滅した後にその不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは,譲渡担保権の設定者は,登記がなければ,その所有権をその不動産を譲り受けた第三者に対抗することができない。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:

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出典:https://www.phytolift.jp/sp/ad/lp01/051/default.html?media=W365


乙:イについて、最判平成18年7月20日は

「構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保においては,集合物の内容が譲渡担保設定者の営業活動を通じて当然に変動することが予定されているのであるから,譲渡担保設定者には,その通常の営業の範囲内で,譲渡担保の目的を構成する動産を処分する権限が付与されており,この権限内でされた処分の相手方は,当該動産について,譲渡担保の拘束を受けることなく確定的に所有権を取得することができると解するのが相当である。上告人とA及びCとの間の各譲渡担保契約の前記条項(前記1(2)ウ,エ,(4)ウ)は,以上の趣旨を確認的に規定したものと解される。他方,対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合,当該処分は上記権限に基づかないものである以上,譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り,当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできないというべきである。
本件においては,本件物件2が本件各譲渡担保の目的である集合物から離脱したと解すべき事情はないから,被上告人が本件契約2により本件物件2の所有権を承継取得したかどうかを判断するためには,本件契約2による本件物件2の売却処分が上告人の通常の営業の範囲内のものかどうかを確定する必要があるというべきである。」
と、判示しています。

民法192条は

「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」

と、規定しています。

最判昭和35年2月11日は

「無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法一九二条によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かかる状態に一般外観上変更を来たさないいわゆる占有改定の方法による取得をもつては足らないものといわなければならない(大正五年五月一六日大審院判決、民録二二輯九六一頁、昭和三二年一二月二七日第二小法廷判決、集一一巻一四号二四八五頁参照)。
されば原判決が、上告人は本件物件を一審原告Dより買い受けたが、Dは当時右物件については全くの無権利者であつたこと、当時Dより物件の引渡を受けはしたが、その引渡はいわゆる占有改定の方法によつたものであることを証拠によつて確定し、しかも一方において右物件は、判示のような経緯から、被上告人B1(同人は当時右物件の売買につき真実の権利者らからその権限を付与されていた)より被上告人株式会社B2に売却され、代金の完済とともにその所有権を譲渡し、かつその引渡が了されたというのであるから、原判決がこれらの事実関係から上告人の所論即時取得による所有権の取得を否定し、これを前提とする本訴請求を排斥したのは正当というべきである。」

と、判示しています。


エについて、民法177条は

「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」

と、規定しています。

最判昭和62年11月12日は

「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。これと同旨の見解に立ち、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、第一審判決添付の目録(八)記載の土地の譲渡担保設定者である亡Dの地位を相続により承継した上告人A1外六名及び同目録(一五)記載の建物の譲渡担保設定者である上告人株式会社A3製作所は、譲渡担保権の消滅後に譲渡担保権者の訴外Eから右土地建物の譲渡を受けた被上告人Bに対し、その所有権を対抗することができないものとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、イが誤りで、エが正しいです。