乙:今日の問題は
AのBに対する1000万円の債務(以下「本件債務」という。)について,AB間でA所有の甲土地で代物弁済をする合意をした場合(中略)代物弁済の合意をしても,その所有権移転登記手続の完了前であれば,AはBに1000万円を支払って,本件債務を弁済により消滅させることができる。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:なすのでしたっけ?
乙:最判昭和43年12月24日は
「債務者がその負担した給付に代えて不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済する場合の債務消滅の効力は、原則として単に所有権移転の意思表示をなすのみでは足らず、所有権移転登記手続の完了によつて生ずることは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和三七年(オ)第一〇五一号同三九年一一月二六日第一小法廷判決民集一八巻九号一九八四頁、同昭和三九年(オ)第六六五号同四〇年四月三〇日第二小法廷判決民集一九巻三号七六八頁参照)。したがつて、右既存債務の弁済が、代物弁済による所有権移転の意思表示の後にされても、その所有権移転登記手続の完了前にされたときは、右意思表示は右弁済による既存債務の消滅によつて、その効力を失う」
と、判示しています。
したがって、上記記述は、正しいです。