刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 285

乙:甲先生、一風堂というラーメン屋さんの半額券を2枚頂いたので、今度一緒に食べに行きませんか?

今日の問題は、旧司法試験からです。

AはBとの間でA所有の甲土地の売買契約を締結し,甲土地をBに引き渡したが,AからBへの所有権移転登記はまだされていない。Cは,そのような事実を知りつつ,Aから甲土地の贈与を受け,AからCへの所有権移転登記がされた。AからCへの贈与によってAが無資力となったときは,Bは贈与を取り消すことができる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:麺かためで。

乙:民法424条1項は

「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。」


同法177条は

「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」

と、規定しています。

最判昭和36年7月19日は

「民法四二四条の債権者取消権は、総債権者の共同担保の保全を目的とする制度であるが、特定物引渡請求権(以下特定物債権と略称する)といえどもその目的物を債務者が処分することにより無資力となつた場合には、該特定物債権者は右処分行為を詐害行為として取り消すことができるものと解するを相当とする。けだし、かかる債権も、窮極において損害賠償債権に変じうるのであるから、債務者の一般財産により担保されなければならないことは、金銭債権と同様だからである。大審院大正七年一〇月二六日民事連合部判決(民録二四輯二〇三六頁)が、詐害行為の取消権を有する債権者は、金銭の給付を目的とする債権を有するものでなければならないとした見解は、当裁判所の採用しないところである。本件において、原判決の確定したところによれば、被上告人は昭和二五年九月三〇日訴外Dとの間に本件家屋を目的とする売買契約を締結し、同人に対しその引渡請求権を有していたところ、Dは、他に見るべき資産もないのに、同二七年六月頃右家屋に債権額八万円の抵当権を有する訴外Eに対し、その債権に対する代物弁済として、一〇万円以上の価格を有する右家屋を提供し、無資力となつたというのである。右事実に徴すれば、本件家屋の引渡請求権を有する被上告人は、右代物弁済契約を詐害行為として取り消しうる
(中略)
論旨は、原判決のような判断が許されるときは、被上告人は登記を了しないのに、既に登記した上告人に対し所有権の移転を対抗し得ると同一の結果となり、民法一七七条の法意に反すると主張するが、債権者取消権は、総債権者の利益のため債務者の一般財産の保全を目的とするものであつて、しかも債務者の無資力という法律事実を要件とするものであるから、所論一七七条の場合と法律効果を異にすることは当然である。所論は採用できない。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、正しいです。