刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 542

乙:今日の問題は

甲は,偽造された1万円札を使って価格1万円の商品をだまし取ろうと考え,事情を知らない商店の店員Aに対し,同商品の購入を申し込み,代金として同1万円札を渡して,Aから同商品の交付を受けた。甲には,詐欺罪と偽造通貨行使罪が成立し,これらは観念的競合となる。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:やってない!

乙:刑法148条は

「行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。」


同法152条は

「貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。」


同法246条は

「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」

と、規定しています。


大判明治43年6月30日は、

「僞造銀行劵ヲ行使シ因テ財物ヲ不正ニ領得シタル場合ニ在テハ財物領得ノ行爲ハ僞造銀行劵行使ノ所爲中ニ包含セラレ別ニ犯罪ヲ構成スルモノニアラス」


と、判示しています。


したがって、上記記述は、誤りです。