刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 541

乙:エイヴリーちゃんを育てたら、思ったより弱かったです。


今日の問題も、2問あります。

ア. 政府は,憲法第9条第2項は自衛のために必要な最小限度の実力,すなわち自衛力の保持を禁じていないという立場をとっている。その論拠は,同条第1項は「国際紛争を解決する手段として」の戦争,すなわち侵略戦争を放棄するものであることと,同条第2項冒頭の「前項の目的を達するため」という文言からして,同条項における「戦力」の不保持は侵略戦争の放棄という目的にとって必要な限りのものであるということである。
イ. 最高裁判所は,自衛隊機の離着陸の差止めが求められた訴訟において,当該飛行場の設置及び航空機の配備・運用が違法か否かは,自衛隊の組織・活動の合法性に関する判断に左右されるのであるから,主権国としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度に政治的な問題であり,純司法的な機能を使命とする司法裁判所の審査には原則としてなじまず,法律上の争訟に当たらないと判示した。


甲先生、宜しくお願い致します。

こ、甲先生!?

甲:ばーにんぐえなじーのむだづかいっていう、うわきじゃないかな。。

乙:アについて

憲法9条は

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

と、規定しています。

「昭和三〇年ごろから、政府は、より積極的な解釈をとるようになり、それがその後の政府の公定解釈となっている。それによると、自衛権は国家固有の権利として、憲法九条の下でも否定されていない。そして、自衛権を行使するための実力を保持することは憲法上許される。つまり、自衛のための必要最小限度の実力は、憲法で保持することを禁じられている「戦力」にあたらない、というものである。」

芦部信喜『憲法』第四版 62頁

イについて、最判平成5年2月25日は

「防衛庁長官は、自衛隊に課せられた我が国の防衛等の任務の遂行のため自衛隊機の運航を統括し、その航行の安全及び航行に起因する障害の防止を図るため必要な規制を行う権限を有するものとされているのであって、自衛隊機の運航は、このような防衛庁長官の権限の下において行われるものである。そして、自衛隊機の運航にはその性質上必然的に騒音等の発生を伴うものであり、防衛庁長官は、右騒音等による周辺住民への影響にも配慮して自衛隊機の運航を規制し、統括すべきものである。しかし、自衛隊機の運航に伴う騒音等の影響は飛行場周辺に広く及ぶことが不可避であるから、自衛隊機の運航に関する防衛庁長官の権限の行使は、その運航に必然的に伴う騒音等について周辺住民の受忍を義務づけるものといわなければならない。そうすると、右権限の行使は、右騒音等により影響を受ける周辺住民との関係において、公権力の行使に当たる行為というべきである。
3 上告人らの本件自衛隊機の差止請求は、被上告人に対し、本件飛行場における一定の時間帯(毎日午後八時から翌日午前八時まで)における自衛隊機の離着陸等の差止め及びその他の時間帯(毎日午前八時から午後八時まで)における航空機騒音の規制を民事上の請求として求めるものである。しかしながら、右に説示したところに照らせば、このような請求は、必然的に防衛庁長官にゆだねられた前記のような自衛隊機の運航に関する権限の行使の取消変更ないしその発動を求める請求を包含することになるものといわなければならないから、行政訴訟としてどのような要件の下にどのような請求をすることができるかはともかくとして、右差止請求は不適法というべきである。

と、判示しています。

したがって、上記記述は、アもイも誤りです。