刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 721

乙:今日の問題も、2問あります。

2. 質権は,留置権とは異なり,約定担保物権であるから,約定があれば,質権設定者を代理人としてその者に占有させることにより,これを設定することができる。
4. 留置権と質権は,不可分性により,いずれも被担保債権の一部の弁済を受けただけでは消滅しないが,留置権については,債務者が相当の担保を提供して留置権の消滅を請求することができる。


2について、民法344条は

「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」

と、規定しています。

大判明治35年2月10日は

「法例第二条ニ「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反セサル慣習ハ法令ノ規定ニ依リテ認メラレタルモノ及ヒ法令ニ規定ナキ事項ニ関スルモノニ限リ法律ト同一ノ効力ヲ有ス」トアルヲ以テ商慣習ニシテ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スルコトナク一般若クハ一地方ニ於テ商慣習法トシテ之ヲ遵守ス可キ効力ヲ有スルニ至レルモノナランニハ商法第一条ノ規定ニ依リ商法ノ規定ニ後レ民法ノ規定ニ先チ之ヲ適用ス可キモノナルコトハ勿論ナリ然レトモ質権ナルモノハ民法質権ノ総則タル其第三百四十四条ニ「質権ノ設定ハ債権者ニ其目的物ノ引渡ヲ為スニ因リ其効力ヲ生ス」ト規定シテ質権ノ占有ヲ以テ質権成立ノ要件ト為シ又其第三百四十五条ニハ「質権者ハ質権設定者ヲシテ自己ニ代ワリテ質物ノ占有ヲ為サシムルコトヲ得ス」ト規定シテ質権設定者ヲシテ質権者ニ代リ質物ヲ占有セシムルコトハ絶対ニ之ヲ禁止セリ抑質権ハ物権トシテ一般ニ対抗シ得可キ法律上特定ノ権利ナルニ若シ此規定ニ反シ成立ノ要件ヲ欠キタル質権カ一般ニ行ワルヽモノトセハ公ノ秩序ヲ壊乱スルニ至ル可キヲ以テ質権成立ニ関スル右ノ法条ハ公ノ秩序ニ関スル重要ナル規定ト云ワサル可カラス故ニ上告人主張スル如キ商慣習ハ従来横浜地方ニ行ワレ仮令商慣習法ト看做シ得可キ効力ヲ有セシモノトスルモ民法実施後ハ其効力ヲ喪イシモノタルヤ論ヲ俟タサル所ナリトス然ラハ原裁判所カ仮令上告人主張ノ如キ慣習アリトスルモ公同ノ秩序ニ関スル民法第三百四十四条第三百四十五条ノ規定ニ違背スルモノトシテ上告人主張ノ慣習ヲ排斥シタルハ相当ナリト謂ワサル可カラス又原裁判所カ右ノ如ク論定シタル已上ハ第一審裁判所カ本件ノ事実ニ商法第九百九十条ノ規定ヲ適用シタルハ不法ナリトノ控訴ノ趣旨ニ対シ特ニ判断ヲ為スノ必要ナク又上告人カ慣習ヲ証明セントスル証人ヲ喚問スルコトモ亦其必要ナキニ帰着シタル筋合ナルニヨリ上告論旨ハ総テ其理由ナシ」

と、判示しています。


4について、民法296条は

「留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。」

同法301条は

「債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる。」

同法350条は

「第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、2が誤りで、4が正しいです。