刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1590

乙:Maybe I’m just way too introverted
sharing needs focus

出典:https://youtu.be/z5ISBvNJU4Q

感想:wayはtooを強調している気がします。


今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第48問イとウです。

イ. 株主総会決議取消しの訴えが適法に提起された後に原告である株主につき相続があった場合には,その相続人が原告の地位を承継する。
ウ. 計算書類承認の株主総会決議の取消訴訟の係属中に,翌期以後の計算書類が承認された場合であっても,原告が勝訴すれば決議がさかのぼって無効になることから,その後にその議案につき再決議がされたなどの特別の事情のない限り,訴えの利益は失われない。

甲先生、よろしくお願いします!


甲:イについて、最大判昭和45年7月15日は

「有限会社における社員の持分は、株式会社における株式と同様、社員が社員たる資格において会社に対して有する法律上の地位(いわゆる社員権)を意味し、社員は、かかる社員たる地位に基づいて、会社に対し利益配当請求権(有限会社法四四条)、残余財産分配請求権(同法七三条)などのいわゆる自益権と本件におけるような会社解散請求権(同法七一条ノ二)、社員総会決議取消請求権(同法四一条、商法二四七条)、同無効確認請求権(有限会社法四一条、商法二五二条)などのいわゆる共益権とを有するのであるが、会社の営利法人たる性質にかんがみれば、これらの権利は、自益権たると共益権たるとを問わず、いずれも直接間接社員自身の経済的利益のために与えられ、その利益のために行使しうべきものと解さなければならない。このことは、社員が直接会社から財産的利益を受けることを内容とする自益権については疑いがないが、社員が会社の経営に関与し、不当な経営を防止しまたはこれにつき救済を求めることを内容とする共益権についても、異なるところはない。けだし、共益権も、帰するところ、自益権の価値の実現を保障するために認められたものにほかならないのであつて、その権利の性質上権利行使の結果が直接会社および社員の利益に影響を及ぼすためその行使につき一定の制約が存することは看過しがたいにしても、本来それが社員自身の利益のために与えられたものであることは否定することができないからである。そして、このような共益権の性質に照らせば、それは自益権と密接不可分の関係において全体として社員の法律上の地位としての持分に包含され、したがつて、持分の移転が認められる以上(有限会社法一九条)、共益権もまたこれによつて移転するものと解するのが相当であり、共益権をもつて社員の一身専属的な権利であるとし、譲渡または相続の対象となりえないと解するいわれはないのである。
 以上説示したところによれば、本件における会社解散請求権、社員総会決議取消請求権、同無効確認請求権のごときも、持分の譲渡または相続により譲受人または相続人に移転するものと認められる。その理は、本件におけるように、社員が社員たる資格に基づいて会社解散の訴、社員総会決議の取消または無効確認の訴を提起したのち持分の譲渡または相続が行なわれた場合においても、異なるところはない。」


ウについて、最判昭和58年6月7日は

「株主総会決議取消の訴えのような形成の訴えは、法律に規定のある場合に限つて許される訴えであるから、法律の規定する要件を充たす場合には訴えの利益の存するのが通常であるけれども、その後の事情の変化により右利益を喪失するに至る場合のあることは否定しえないところである。しかして、被上告人らの上告人に対する本訴請求は、昭和四五年一一月二八日に開催された上告会社の第四二回定時株主総会における「昭和四五年四月一日より同年九月三〇日に至る第四二期営業報告書、貸借対照表、損益計算書、利益金処分案を原案どおり承認する」旨の本件決議について、その手続に瑕疵があることを理由として取消を求めるものであるところ、その勝訴の判決が確定すれば、右決議は初めに遡つて無効となる結果、営業報告書等の計算書類については総会における承認を欠くことになり、また、右決議に基づく利益処分もその効力を有しないことになつて、法律上再決議が必要となるものというべきであるから、その後に右議案につき再決議がされたなどの特別の事情がない限り、右決議取消を求める訴えの利益が失われることはないものと解するのが相当である。
 そこで、叙上の見地に立つて、本件につきかかる特別の事情が存するか否かについて検討する。この点に関し、論旨は、本件決議が取り消されたとしても、右決議ののち第四三期ないし第五四期の各定時株主総会において各期の決算案は承認されて確定しており、右決議取消の効果は、右第四三期ないし第五四期の決算承認決議の効力に影響を及ぼすものではないから、もはや本件決議取消の訴えはその利益を欠くに至つたというのであるが、株主総会における計算書類等の承認決議がその手続に法令違反等があるとして取消されたときは、たとえ計算書類等の内容に違法、不当がない場合であつても、右決議は既往に遡つて無効となり、右計算書類等は未確定となるから、それを前提とする次期以降の計算書類等の記載内容も不確定なものになると解さざるをえず、したがつて、上告会社としては、あらためて取消された期の計算書類等の承認決議を行わなければならないことになるから、所論のような事情をもつて右特別の事情があるということはできない。また、論旨は、修正動議無視の瑕疵は、その後右動議にいう水俣病補償積立金及び水俣病対策積立金以上の額の水俣病の補償金及び対策費が支出され、右動議の目的がすでに達成されているので、右瑕疵は治癒され訴えの利益は失われたというが、被上告人らの上告人に対する本訴請求は、株主の入場制限及び修正動議無視という株主総会決議の手続的瑕疵を主張してその効力の否認を求めるものであるから、右修正動議の内容が後日実現されたということがあつても、そのことをもつて右特別の事情と認めるに足りず、他に右特別の事情を認めるに足る事実関係のない本件においては、訴えの利益を欠くに至つたものと解することはできない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、イもウも正しいです。