刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2321

乙:今日の問題は、平成23年予備試験刑事訴訟法第23問ウです。

 

刑事訴訟法第321条第3項は 「検察官,検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は,その供述者が公判期日において証人として尋問を受け,その真正に作成されたものであることを供述したときは,第1項の規定にかかわらず,これを証拠とすることができる。」と規定し,同条第4項は 「鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても,前項と同様である。」と規定する。これらの規定に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例に照らして誤っているもの(中略)
ウ.酒酔い鑑識カードは,被疑者との問答欄であっても,被疑者の酒酔いの程度を判断するための資料として,被疑者の状態につき検査,観察により認識した結果を記載したものであるから,同条第3項の書面にあたる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:Am I a control freak

 

出典:https://youtu.be/rmEZs6CtMKU

 

感想:アルクによると、control freakは、仕切りたがり屋、という意味です。

 

乙:刑事訴訟法321条1項3号は

 

「被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。

三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和47年6月2日は

 

「しかし、本件「鑑識カード」のうち被疑者との問答の記載のある欄は、同巡査が所定の項目につき質問をしてこれに対する被疑者の応答を簡単に記載したものであり、必ずしも検証の結果を記載したものということはできず、また、紙面最下段の「事故事件の場合」の題下の「飲酒日時」および「飲酒動機 の両欄の記載は、以上の調査の際に同巡査が聴取した事項の報告であつて、 検証の結果の記載ではなく、以上の部分は、いずれも同巡査作成の捜査報告書たる性質のものとして、刑訴法三二一条一項三号の書面にあたるものと解するのが相当である。
以上のごとく、本件「鑑識カード」は、被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載部分を除いて、刑訴法三二一条三項にいう「検証の結果を記載した書面」にあたるものと解するのが相当であり、また、このように解しても憲法三七条二項に違反するものではないことは、当裁判所昭和二三年(れ)第八三三号同二四年五月一八日大法廷判決(刑集三巻六号七八九頁)の趣旨に徴して明らかである(なお、当裁判所昭和三五年(あ)第八八七号同年九月八日第一小法廷判決・刑集一四巻一一号一四三七頁参照 。)それゆえ、第一審裁判所が、本件「鑑識カード」を証拠とするにつき弁護人の同意がなかつたので、検察官の請求に基づき、公判期日において作成者A巡査を証人として尋問し、それが真正に成立したことについての供述を得たうえ、本件「鑑識カード」を取り調べ、かつ、判決において犯罪事実認定の証拠に供し、原判決がこれを是認したことは、そのうち被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載部分を除いて、その結論においては、正当といわなければならない。
つぎに、本件「鑑識カード」のうち被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載部分は、前示のとおり、刑訴法三二一条一項三号の書面にあたるものと解するのが相当であるから、第一審裁判所が同号所定の事由がないのに右部分を取り調べて証拠に掲げたのは、右部分に関するかぎり、刑訴法三二〇条一項に違反したものであり、原判決も、これを是正しなかつたものである。しかし、右部分自体は 本件の争点に直接関係のある証拠ではなく、かつ、第一審において作成者A巡査が証人として尋問され、もし被告人または弁護人において右記載部分について不服があれば反対尋問を行なう機会が与えられたことにかんがみれば、第一審および原審の右措置は、いまだ憲法三七条二項に違反するものとは認められないこと、前示当裁判所昭和二四年五月一八日大法廷判決の趣旨に徴して明らかである(なお、第一審および原審の右法令違反は、いまだ各判決に影響を及ぼすものとは認められない。)。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。