刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2365

乙:今日の問題は、令和3年司法試験民法第9問ウです。

 

共有に関する(中略)
ウ.共有物の分割を求める裁判において共有物の現物を分割することができないとき,又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは,裁判所は,その競売を命じなければならない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:You’ve been creeping up inside
Like a demon-girl

 

出典:https://youtu.be/bKdApMNmsI0

 

感想:アルクによると、creep upは、徐々に上がる、などの意味です。

 

乙:民法258条は

 

「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。」

 

と、規定しています。

 

最判平成8年10月31日は

 

「民法二五八条二項は、共有物分割の方法として、現物分割を原則としつつも、共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著しく価格を損じるおそれがあるときは、競売による分割をすることができる旨を規定している。ところで、この裁判所による共有物の分割は、民事訴訟上の訴えの手続により審理判断するものとされているが、その本質は非訟事件であって、法は、裁判所の適切な裁量権の行使により、共有者間の公平を保ちつつ、当該共有物の性質や共有状態の実状に合った妥当な分割が実現されることを期したものと考えられる。したがって、右の規定は、すべての場合にその分割方法を現物分割又は競売による分割のみに限定し、他の分割方法を一切否定した趣旨のものとは解されない。
 そうすると、共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、現物分割をするに当たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることができる(最高裁昭和五九年(オ)第八〇五号同六二年四月二二日大法廷判決・民集四一巻三号四〇八頁参照)のみならず、当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるものというべきである。
 2 これを本件についてみるに、前記一の事実関係等によれば、本件不動産は、病院、その附属施設及びこれらの敷地として一体的に病院の運営に供されているのであるから、これらを切り離して現物分割をすれば病院運営が困難になることも予想される。そして、被上告人が競売による分割を希望しているのに対し、上告人らは、本件不動産を競売に付することなく、自らがこれを取得する全面的価格賠償の方法による分割を希望しているところ、本件不動産が従来から一体として上告人ら及びその先代による病院の運営に供されており、同病院が救急病院として地域社会に貢献していること、被上告人が本件不動産の持分を取得した経緯、その持分の割合等の事情を考慮すると、本件不動産を上告人らの取得とすることが相当でないとはいえないし、上告人らの支払能力のいかんによっては、本件不動産の適正な評価額に従って被上告人にその持分の価格を取得させることとしても、共有者間の実質的公平を害しないものと考えられる。
 3 そうすると、本件について、全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について審理判断することなく、競売による分割をすべきものとした原判決には、民法二五八条の解釈適用の誤り、ひいては審理不尽、理由不備の違法があるというべきであり、この違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。