刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1775

乙:今日の問題は、新司法試験平成19年民事系第11問3と5です。

3. AがBの所有する未登記建物を買い受け,その後その建物についてB名義の所有権保存登記
がなされた後,BがCにこれを売却しその旨の登記をした場合,Aは,Cに対しその所有権を
取得したことを対抗することができない。
5. A,B及びCが土地を共有している場合,Aからその持分を譲り受けたDは,その持分の取
得につき登記を経由しないでB及びCに対抗することができる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Will you hold your fire
When there comes a time to take your shot

出典:https://genius.com/The-snuts-glasgow-lyrics

感想:アルクによると、hold one's fireで、射撃を中断[禁止]する、という意味だそうです。


乙:民法177条は

「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」

と、規定しています。


3について、大判大正5年2月2日は

「原判決ニハ第一審判決ノ事実ノ摘示ヲ引用シアリ第一審判決ニハ本件建物カ未登記ナル旨ノ上告人ノ事実上ノ主張ノ記載アルヲ以テ原判決カ其主張ヲ遺脱シタルモノト認メ難ク又原判決カ其理由ノ説明ニ於テ一言本件建物カ未登記ナル事実ニ言及セサリシハ原判決ハ売買ニ因ル不動産ノ取得者ハ其不動産カ未登記ナルト既登記ナルトニ論ナク登記ヲ為スニ非レハ其取得ヲ第三者ニ対抗スルコトヲ得ストノ見解ヲ採リタルニ依ルモノト解セラルルヲ以テ本論旨ハ理由ナシ」

と、判示しています。


5について、最判昭和46年6月18日は

「 不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者は民法一七七条にいう「第三者」に該当するから、右譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は、右持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができない。そして、共有物分割の訴は、共有者間の権利関係をその全員について画一的に創設する訴であるから、持分譲渡があつても、これをもつて他の共有者に対抗できないときには、共有者全員に対する関係において、右持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割をなすべきものである(大審院大正五年(オ)第八〇三号同年一二月二七日判決民録二二輯二五二四頁参照)。右と同旨の見解の下に、本件不動産の共有物分割を命じた原判決は、正当として首肯することができる。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、3が正しく、5が誤りです。