刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1110

乙:No one wants to be defeated

 

出典:Michael Jackson – Beat It Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:MJの曲はアップテンポなものが良いと思っています。

 

今日の問題は4問で、新司法試験平成22年民事系第10問アイエオです。

 

ア.共有者全員が賃貸人となり共有物を目的とする賃貸借契約が締結された場合,その賃貸借契約を解除するには,共有者全員が解除権を行使しなければならない。
イ.A,B及びCが共有者である共有不動産についての裁判による分割において,AとBが原告となり,Cを被告として分割請求をした場合,Cの持分の限度で現物を分割し,残りの部分をAとBの共有とする方法は許される。
エ.被相続人が遺言をしないで死亡したことにより相続人の共有となった財産の分割は,裁判所が判決手続によって行うことができない。
オ.要役地の共有者の一人のために時効の中断がある場合であっても,他の共有者との関係では,消滅時効は進行する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:ごーるでんきょうだい。。

 

 

乙:アについて、民法252条は

 

「共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。」

 

同法544条1項は

 

「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。」

 

と、規定しています。

 

 

最判昭和39年2月25日は

 

「 上告人が被上告人Bに対し本件土地の貸借契約について解除の意思表示をした当
時、上告人および訴外Dが本件土地について各二分の一の割合による共有持分を有
していたことは、原判決の確定するところである。ところで、共有者が共有物を目
的とする貸借契約を解除することは民法二五二条にいう「共有物ノ管理ニ関スル事
項」に該当し、右貸借契約の解除については民法五四四条一項の規定の適用が排除
されると解すべきことは所論のとおりであるから、原審が、上告人および訴外Dの
共有物である本件土地を目的とする貸借契約の解除についても同項の規定が適用さ
れることを前提として、上告人だけで右契約を解除することはできないとしたのは、
法律の解釈を誤つたものというべきである。しかし、共有物を目的とする貸借契約
の解除は民法二五二条但書にいう保存行為にあたらず、同条本文の適用を受ける管
理行為と解するのが相当であり、前記確定事実によれば、上告人は本件土地につい
て二分の一の持分を有するにすぎないというのであるから、同条本文の適用上、上
告人が単独で本件貸借契約を解除することは、特別の事情がないかぎり、許されな
いものといわねばならない。したがつて、上告人の解除権を否定した前記原審の判
断は、結局、正当であり、論旨は採用できない。」

 

と、判示しています。

 

 

イについて、民法258条は

 

「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。」

 

 

最大判昭和62年4月22日は

 

「 (2) 更に、民法二五八条による共有物分割の方法について考えるのに、現物分
割をするに当たつては、当該共有物の性質・形状・位置又は分割後の管理・利用の
便等を考慮すべきであるから、持分の価格に応じた分割をするとしても、なお共有
者の取得する現物の価格に過不足を来す事態の生じることは避け難いところであり、
このような場合には、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価
を支払わせ、過不足の調整をすることも現物分割の一態様として許されるものとい
うべきであり、また、分割の対象となる共有物が多数の不動産である場合には、こ
れらの不動産が外形上一団とみられるときはもとより、数か所に分かれて存在する
ときでも、右不動産を一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの部分を各共有
者の単独所有とすることも、現物分割の方法として許されるものというべきところ、
かかる場合においても、前示のような事態の生じるときは、右の過不足の調整をす
ることが許されるものと解すべきである(最高裁昭和二八年(オ)第一六三号同三〇年五月三一日第三小法廷判決・民集九巻六号七九三頁、昭和四一年(オ)第六四
八号同四五年一一月六日第二小法廷判決・民集二四巻一二号一八〇三頁は、右と抵
触する限度において、これを改める。)。また、共有者が多数である場合、その中
のただ一人でも分割請求をするときは、直ちにその全部の共有関係が解消されるも
のと解すべきではなく、当該請求者に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その
余は他の者の共有として残すことも許されるものと解すべきである。」

 

と、判示しています。

 

 

エについて、最判昭和62年9月4日は

 

「遺産相続により相続人の共有となつた財産の分割について、共同相続人間に協議
が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家事審判法の定めるとこ
ろに従い、家庭裁判所が審判によつてこれを定めるべきものであり、通常裁判所が
判決手続で判定すべきものではないと解するのが相当である。したがつて、これと
同趣旨の見解のもとに、上告人の本件共有物分割請求の訴えを不適法として却下す
べきものとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の
違法はなく、所論引用の判例に抵触するものではない。論旨は、ひつきよう、独自
の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。」

 

と、判示しています。

 

オについて、民法292条は

 

「要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、アとオが誤りで、イとエが正しいです。