刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2543

乙:But it never gives me a reason, about what we’re fighting for

 

出典:https://youtu.be/mwHBTxAcM9M?feature=shared

 

感想:アルクによると、give someone a reasonは、理由を(人)に説明する、などの意味です。

 

今日の問題は、令和4年司法試験刑法第2問5です。


次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)
5.甲は、日本国外で販売する目的で、日本国内において、わいせつな内容を含む書籍を所持した。この場合、甲にわいせつ文書有償頒布目的所持罪が成立する。

 


甲先生、よろしくお願いします!

 


甲:刑法175条は

 


「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。」

 


と、規定しています。

 


最判昭和52年12月22日は

 


「 ところで、刑法一七五条の規定は、わが国における健全な性風俗を維持するため、日本国内において猥せつの文書、図画などが頒布、販売され、又は公然と陳列されることを禁じようとする趣旨に出たものであるから(このことは、刑法二条、三条
の国外犯の処罰例中に同法一七五条が掲げられていないことから明らかである。)、
同条後段にいう「販売の目的」とは日本国内において販売する目的をいうものであり、したがつて、猥せつの図画等を日本国内で所持していても日本国外で販売する目的であつたにすぎない場合には同条後段の罪は成立しないと解するのが相当である。これを本件について見ると、第一審判決挙示の証拠によれば、被告人Cは、昭和四八年九月ころ、スウエーデンのポルノ書籍販売業者から本件写真原板を買い受けたのち、東京都内の印刷業者に依頼し右写真原板を用いてカラー写真雑誌多数冊を製作させたうえ、これを日本国内で販売したり又は販売の目的で所持していたところ、昭和四九年二月中検挙され、右写真雑誌多数冊を押収され、取り調べられるにいたつたこと、そのようなことがあつて、同被告人においては、アメリカ商社の日本駐在員などをしアメリカに出張などしていた被告人Aを介して、右写真原板をアメリカで売却しようと考え、同年一一月初旬ころ、同被告人に対し、右の趣旨を依頼してこれを預けたこと、被告人Aにおいては、これを引き受けたのち、国際電話でアメリカの関係業者数社に対し右の売却の交渉をしたりしていたことを認めることができるのである。以上の事実に照らすと、被告人Cが右写真原板を被告人Aに委託した主な動機は、売却代金の取得にほかならなく、アメリカで売却するということ自体はその方便にすぎないとみられるのであるが、しかし、本件起訴の対象である前記日時における所持に際し、被告人C及び同Aが、日本国内で売却する目的をも合わせもつていたと断定することも困難なところであり、結局、被告人両名の右写真原板の所持について、日本国内で販売する目的があつたとの証明は十分でないといわなければならない。」


と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。