刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 628

乙:今日の問題は

甲は,わいせつな映像が録画されたDVDを販売する目的で雑誌に広告を出し,申し込んできた複数の客から代金の振込みを受け,宅配便で配送する手続を採ったが,配送するトラックが途中で事故を起こしたため,同DVDは,客に届かなかった。この場合,甲にわいせつ物販売罪は成立しない。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:もうぼさんせん。。

乙:刑法175条は

「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。」

と、規定しています。

大判昭和31年11月31日は

「刑法第百七十五條ニ所謂頒布ノ罪ハ同條揭記ノ物件ヲ單ニ郵便物トシテ差出シタルヲ以テ足レリトセス之ヲ不定多數人ニ配布シタルコトニ依リテ成立スルモノトス原判示第三ニ依レハ被告人ハ所論郵便禁制品ヲ長尾敦外七千七百餘名ニ宛テタル郵便物中ニ封入シテ判示郵便局ニ差出シタルニ止ルモノニシテ之ヲ同人等ニ配布シタルコトハ原判決ノ認メサルトコロナルカ故ニ原判決カ之ヲ郵便法第四十六條ヲ以テ問擬シ刑法第百七十五條ヲ以テ處斷セサリシハ洵ニ正当ナリ」

と、判示しています。

「頒布・販売が成立するためには,わいせつ物を交付する約束が成立しただけでは足りず,わいせつ物が現実に交付されたことが必要である(大判昭和11・1・31刑集15巻68頁,最判昭和34・3・5刑集13巻3号275頁)。」

山口厚『刑法各論 第2版』510頁


したがって、上記記述は、正しいです。