刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2737

乙:For you
Carving out the time to make a fun decision

 

出典:https://genius.com/Say-she-she-never-say-never-lyrics

 

感想:アルクによると、carve outは、〔像などを〕彫って作る、などの意味です。

 

今日の問題は、令和3年予備試験刑法第6問2です。

 

文書偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合(中略)

2.公務員である医師が,自己の勤務する市立病院の患者が裁判所に提出するための診断書に虚偽の病名を記載した場合,虚偽公文書作成罪が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:刑法160条は

 

「医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、三年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。」

 

同法156条は

 

「公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。」

 

同法155条1項は

 

「行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和23年10月23日は

 

「 しかし原判決の認定によれば被告人は第一審相被告人Aと共謀して岡山刑務所医務課長Cを買収してDのため同人が勾留に堪えられない旨の虚偽の内容の診断書を作成さしてこれを入手しようと決め、Aがその任に当ることになつたところAは医務課長の買収が困難なのを知つて寧しろ医務課長名義の診断書を偽造しようと決意し第一審相被告人Bを教唆して本件診断書を作成偽造せしめたというのである。被告人の故意は前記認定の如くAと共謀して医務課長をして虚偽の公文書を作成する罪(刑法第百五十六条の罪)を犯させることを教唆するに在る、しかるに現実には前記のような公文書偽造の結果となつたのであるから事実の錯誤の問題である、かかる場合にAのBに対する本件公文書偽造教唆について被告人が故意の責任を負うべきであるか否やは一の問題であるが本件故意の内容は刑法第百五十六条の罪の教唆であり結果は同法第百五十五条の罪の教唆であるそしてこの両者は犯罪の構成要件を異にするもその罪質を同じくするものであり且法定刑も同じである、而して右両者の動機目的は全く同一である、いづれもDの保釈の為めに必要な虚偽の診断書を取得する為めである、即ち被告人等は最初その目的を達する手段として刑法第百五十六条の公文書無形偽造の罪を教唆することを共謀したが結局共謀者の一人たるAが公文書有形偽造教唆の手段を選びこれによつて遂に目的を達したものである、それであるからAのBに対する本件公文書偽造の教唆行為は被告人とAとの公文書無形偽造教唆の共謀と全然無関係に行われたものと云うことはできないのであつて矢張り右共謀に基づいてたまたまその具体的手段を変更したに過ぎないから両者の間には相当因果関係があるものと認められる、然らば被告人は事実上本件公文書偽造教唆に直接に関与しなかつたとしてもなおその結果に対する責任を負わなければならないのである。即ち被告人は法律上本件公文書偽造教唆につき故意を阻却しないのである。而して原判決は以上説明の如き趣旨によつて被告人が本件診断書の偽造を教唆したものと判断したのであつて何等違法の点はない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。