刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 253

乙:今日の問題は

関税法第118条第1項により第三者の所有物を没収することをめぐる最高裁判所の判決(最高裁判所昭和37年11月28日大法廷判決,刑集16巻11号1593頁)に関する次の(中略)記述について,正しいものには◯,誤っているものには×を付し(中略)なさい。

イ.この判決は,所有者たる第三者を証人として法廷に召喚し,これに対する証人尋問の際に,第三者没収の趣旨を告知し,弁解,防御の機会を与えていれば,憲法第31条,第29条に違反するものではないとした。



甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:このブログとガンフロは、ひまつぶしっていううわきじゃないかな。

乙:最大判昭和37年11月28日は、

「第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であつて、憲法の容認しないところであるといわなければならない。
けだし、憲法二九条一項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同三一条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、所有物を没収せられる第三者についても、告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であつて、これなくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科するに外ならない」

「関税法八三条一項は、同項所定の犯罪に関係ある船舶、貨物等が被告人以外の第三者の所有に属する場合においてもこれを没収する旨規定しながら、その所有者たる第三者に対し、告知、弁解、防禦の機会を与えるべきことを定めておらず、また刑訴法その他の法令においても、何らかかる手続に関する規定を設けていないのである。従つて、前記旧関税法八三条一項によつて第三者の所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反する」

と、判示しています。


証人尋問の際に,第三者没収の趣旨を告知し,弁解,防御の機会を与えていれば,憲法第31条,第29条に違反するものではない

とは、判示していません。

したがって、上記記述は、誤りです。