刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 362

乙:今日の問題は、2つあります。

第三者所有物没収事件判決(最高裁判所昭和37年11月28日大法廷判決,刑集16巻11号1593頁)(中略)は,被告人以外の第三者の所有物(以下「第三者所有物」という。)を没収する場合において,当該第三者に対し告知,弁解,防御の機会を与えることなくその所有物を没収することは,適正な法律手続によらないで財産権を侵害する制裁を科するに外ならない旨判示した。
(上記記述を、ア.とします。)


イ.前記判決は,被告人に対する附加刑として科される第三者所有物に対する没収の言渡により,当該第三者の占有権が剥奪されるにとどまり,所有権剥奪の効果は生じないことを,その判断の前提としている。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:(SAOのBlu-ray買おうかな。。)

乙:最大判昭和37年11月28日は

ア.について
「第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であつて、憲法の容認しないところであるといわなければならない。けだし、憲法二九条一項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同三一条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、所有物を没収せられる第三者についても、告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であつて、これなくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科するに外ならないからである。」


イ.について
「旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。以下同じ。)八三条一項の規定による没収は、同項所定の犯罪に関係ある船舶、貨物等で犯人の所有または占有するものにつき、その所有権を剥奪して国庫に帰属せしめる処分であつて、被告人以外の第三者が所有者である場合においても、被告人に対する附加刑としての没収の言渡により、当該第三者の所有権剥奪の効果を生ずる趣旨である」


と、判示しています。

したがって、ア.が正しく、イ.は誤りです。