乙:今日の問題は、4問あります。
ア. 夫婦の共有財産は,離婚の時から2年以内に分割しなければならない。
イ. 婚姻によって氏を改めた夫又は妻が,離婚後にも婚姻中に称していた氏を続けて称するためには,離婚の時に届出をする必要がある。
エ. 財産分与に関する協議が調わなくても,協議離婚はできる。
オ. 共同親権に服する子のいる父母が裁判上の離婚をする場合には,裁判所が父母の一方を親権者と定める。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:
乙:アについて、民法768条1項は
「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」
同法771条は
「第七百六十六条から第七百六十九条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。」
と、規定しています。
一方、同法768条2項は
「前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。」
と、規定しています。
イについて、766条1項は
「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」
同法767条2項は
「前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。」
同法771条は
「第七百六十六条から第七百六十九条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。」
と、規定しています。
エについて、民法763条は
「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。」
戸籍法76条は
「離婚をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 親権者と定められる当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名
二 その他法務省令で定める事項」
と、規定しています。
オについて、民法818条3項本文は
「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」
同法819条1項は
「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」
同条2項は
「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。」
と、規定しています。
したがって、アとイは誤りで、エとオは正しいです。