乙:
今日の問題は
(前略)甲の罪責を検討した場合,危険運転致死罪が成立する(中略)か。(中略)甲は,交通違反を繰り返して自動車運転免許の取消処分を受けていたものの,自動車の運転経験が長く運転技術に自信があったので,事故を起こすことはないだろうと思って自動車の運転を始めたが,運転中脇見をしてハンドル操作を誤り,自車を対向車線に進出させて乙運転の対向車と衝突させ,乙に傷害を負わせた。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:
乙:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条3号は
「次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為」
と、規定しています。
「「進行を制御する技能を有しない」とは,基本的な自動車操作の技能を有しないことをいう。(中略)経験・技能はあるが無免許の場合や免許停止中の場合などは含まれない。」
西田典之『刑法各論』〔第6版〕53頁
したがって、上記記述は、誤りです。