刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 524

乙:今日の問題は

判例の立場に従って(中略)甲の行為(乙に対する関係に限る。)について(中略)甲は,乙から,乙がAに金員を貸し付けて質物として交付を受けたA所有の高級腕時計の鑑定を頼まれ,乙のためにその時計を保管していたが,Aから返還を求められたことに応じ,乙に無断で,その時計をAに交付した。
【結 論】
I. 横領罪が成立する。
II. 背任罪が成立し,横領罪は成立しない。
III. 横領罪も背任罪も成立しない。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:はにい、ん。。

乙:刑法247条は

「他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」

同法252条1項は

「自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。」

と、規定しています。


大判明治44年10月13日は

「刑法第二百五十二條ニ所謂他人ノ物トハ他人ノ所有ニ屬スル物件ヲ指稱シタルモノナルコト同條第二項ノ規定ト相俟テ其意自ラ明カナリ故ニ同條第一項ノ犯罪ノ成立ニハ必ス他人ノ所有權ニ對スル侵害ナカルヘカラス然ルニ被告音次郎ノ第二事件ハ原院ノ認定ニ依レハ湯川專三郎カ宮田正之助ヨリ質物トシテ受取リ置キタル物件ヲ被告音次郎ニ於テ專三郎ノ委託ヲ受ケ保管中正之助ノ請ヲ容レ擅ニ之ヲ正之助ニ交付シタリト謂フニアリテ其所爲專三郎ノ質權ニ侵害ヲ加ヘタルモノニシテ正之助ノ所有權ヲ侵害シタルモノニ非サレハ即チ刑法第二百四十七條ノ犯罪ヲ構成スル事實ナリトス」

と、判示しています。

したがって、上記記述の結論は、II. です。