刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 545

乙:今日の問題は

地方公共団体において,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができる措置を執ることは,憲法第14条第1項に違反しないとした最高裁判所の判決(最高裁判所平成17年1月26日大法廷判決,民集59巻1号128頁)(中略)
ア. この判決は,地方公共団体が,在留外国人を職員として採用する場合,その者について,どのような昇任の条件を定めるかは当該地方公共団体の裁量にゆだねられるから,その判断に裁量権の逸脱・濫用がない限り,違法の問題を生じないとした。
イ. この判決は,日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める「特別永住者」の公務就任権を制限する場合について,一般の在留外国人とは異なる取扱いが求められると解する余地を否定した。



甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:ねみー。。

乙:憲法14条1項は

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

と、規定しています。

アについて、最大判平成17年1月26日は

「地方公務員法は,一般職の地方公務員(以下「職員」という。)に本邦に在留する外国人(以下「在留外国人」という。)を任命することができるかどうかについて明文の規定を置いていないが(同法19条1項参照),普通地方公共団体が,法による制限の下で,条例,人事委員会規則等の定めるところにより職員に在留外国人を任命することを禁止するものではない。普通地方公共団体は,職員に採用した在留外国人について,国籍を理由として,給与,勤務時間その他の勤務条件につき差別的取扱いをしてはならないものとされており(労働基準法3条,112条,地方公務員法58条3項),地方公務員法24条6項に基づく給与に関する条例で定められる昇格(給料表の上位の職務の級への変更)等も上記の勤務条件に含まれるものというべきである。しかし,上記の定めは,普通地方公共団体が職員に採用した在留外国人の処遇につき合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることまで許されないとするものではない。」

と、判示しています。

イについて、同判決は

「普通地方公共団体が,公務員制度を構築するに当たって,公権力行使等地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを 包含する一体的な管理職の任用制度を構築して人事の適正な運用を図ることも,その判断により行うことができるものというべきである。そうすると,【要旨1】普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である 職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,上記の措置は,労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではないと解するのが相当である。そして,この理は,前記の特別永住者についても異なるものではない。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、アが誤りで、イが正しいです。