刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 601

乙:マニアック四柱推命の四柱推命講座、勉強になりそうです。

http://www.koufuku.ne.jp/koza.html

今日の問題は、4問あります。

XがYに対し履行遅滞に基づく損害賠償を求める訴えを提起した。(中略)
1. 履行期にYが債務の履行をしなかったことをXが主張立証する必要はないとの見解に立つ場合,履行期に債務の履行をしたとのYの主張は,Xの主張に対する否認となる。
2. 債務の履行は可能であることが常態であるから,履行遅滞に基づく損害賠償請求訴訟では,履行期に履行が可能であったことをXが主張立証する必要はなく,履行期に履行不能であったことをYが主張立証しなければならない。
3. 売買代金の履行遅滞に基づく損害賠償請求において,同時履行の抗弁権が存在することが遅滞の違法性を阻却するとの見解に立つ場合,Xが請求原因事実として自己の債務の履行又は履行の提供を主張立証しなければならない。
4. 貸金債権の履行遅滞に基づく損害賠償請求において,Yは,履行遅滞が自己の責めに帰すべき事由に基づかないことを主張立証したときは,その責任を免れる。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:

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乙:1について

「このような請求原因の主張に対して,被告の争い方は二つあります。一つは,請求原因を否認する争い方です。もう一つは,抗弁を主張する争い方です。被告は,請求原因を否認又は不知と認否した場合でも抗弁を主張することができます。
抗弁の主張・立証責任は被告に分配されますが,被告の主張が抗弁に当たるには,①その主張事実が請求原因事実と両立すること,②その主張の法律効果が請求原因から生じる法律効果を妨げる(障害し,消滅させ又は阻止する)ことが必要です。請求原因と両立しない事実であれば,それは否認です」

司法研修所『新問題研究 要件事実』14頁

2について、民法415条前段は

「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。」

と、規定しています。


「債権者からの履行請求に対して,「履行が不能であること」は,履行を拒絶する債務者からの抗弁事由として位置づけられている。「履行が不能であること」を基礎づける事実についての主張・立証責任は,債務者側にある。」

潮見佳男『プラクティス民法 債権総論〔第3版〕』78頁

3について、民法533条は

「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」

と、規定しています。

「同時履行の抗弁権が「存在」しているということだけで履行遅滞の「違法性」が阻却されるのか,それとも,債務者の側で同時履行の抗弁権を「行使」してはじめて,履行遅滞の違法性が阻却されるのかという問題である。前者を存在効果説と言い,後者を行使効果説と言う。両説は,要件事実面で,次のような違いとなってあらわれる。(中略)理解を助けるため,YがXに30万円で宝石(甲)を売ったが,Yからの引渡しがないため,XがYに対し,甲の引渡債務の履行遅滞を理由として損害賠償を請求したというケースを例にとる。
[A:存在効果説からの説明(通説)]
XがYに対して履行遅滞を理由として損害賠償請求するとき,Xは,請求原因の1つとして,債権発生原因,すなわち,X・Y間での甲の売買契約締結の事実を,主張・立証しなければならない。このとき,この請求原因事実を主張・立証するやいなや,債権発生原因としての「売買契約」という双務契約の「存在」が明らかとなる。そして,双務契約では給付と反対給付とは同時履行の関係にあるから,この請求原因事実から,「債務者Yは,Xからの履行の提供がなければ,甲の引渡債務を履行しなくても違法でない」ということが,帰結される。したがって,上記の請求原因事実を主張・立証して履行遅滞を理由とする損害賠償を請求するXとしては,この事実とともに,「みずからが甲の売買代金をYに提供したこと」をも,請求原因事実として主張・立証しなければならなくなる。」

同108-109頁


4について、民法419条は

「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」

と、規定しています。

「金銭債務については,損害賠償の要件について2つの例外が定められている.
第1に,債務者は不可抗力をもって抗弁となしえない(419条3項).つまり,履行期に提供しなければ,責めに帰すべき事由の有無を問わず損害賠償責任を負う.その理由は,金銭は相当の利息を払えば容易に入手できるから,履行不能が考えられない,という点にある(起草者).」

内田貴『民法Ⅲ 第3版 債権総論・担保物権』155頁


したがって、上記記述は、1と4が誤りで、2と3が正しいです。