刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1653

乙:今日の問題は、新司法試験平成18年民事系第29問3と4です。

XがYに対し履行遅滞に基づく損害賠償を求める訴えを提起した。この場合の主張立証に関する(中略)
3. 売買代金の履行遅滞に基づく損害賠償請求において,同時履行の抗弁権が存在することが遅
滞の違法性を阻却するとの見解に立つ場合,Xが請求原因事実として自己の債務の履行又は履
行の提供を主張立証しなければならない。
4. 貸金債権の履行遅滞に基づく損害賠償請求において,Yは,履行遅滞が自己の責めに帰すべ
き事由に基づかないことを主張立証したときは,その責任を免れる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?

甲:I’ll be your hired gun

出典:https://genius.com/Clarence-clarity-alive-in-the-septic-tank-lyrics

感想:アルクによると、hired gunで〔金で雇われた〕殺し屋、ボディーガードという意味のようです。


乙:3について、民法533条は

「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」

と、規定しています。

「代金支払債務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権の発生原因事実は,
① XがYとの間で売買契約を締結したこと
② 代金支払債務の履行期が経過したこと
③ XがYに対して①の契約に基づき目的物の引渡しの提供(目的物が不動産の場合は,目的物の所有権移転登記手続(及び引渡し)の提供)をしたこと
④ ②の時期以降の期間の経過
である。(中略)
 また,売買契約は,双務契約であるから,①によって,代金支払債務に同時履行の抗弁権(民法533条)が付着していることが基礎づけられている。同時履行の抗弁権の存在は,履行遅滞の違法性阻却事由に当たると解されているので(存在効果説。我妻・債権各論上153),同時履行の抗弁権の存在効果を消滅させるため,③の主張立証が必要となる。」

司法研修所編『改訂 紛争類型別の要件事実』4-5頁


4について、民法419条1、3項は

「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、3が正しく、4が誤りです。