乙:今日の問題は、2問あります。
ア. 金銭債務の履行の催告においては,必ずしも金額を明示する必要はない。
イ. 催告に当たっては,債務者に対して,債務の履行を促し,履行がなければ解除する旨を通知することを要する。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:かたい。。
乙:民法541条は
「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」
と、規定しています。
アについて、大判昭和9年6月2日は
「民法第五百四十一条カ債務ノ不履行ヲ原因トスル契約解除ノ前提トシテ相当ノ期間ヲ定メタル履行ノ催告ヲ必要ト為シタル所以ノモノハ之ニ依リテ債務者ニ履行ヲ為スノ機会ヲ与ヘ契約解除ニ因ル不利益ヲ免ルルコトヲ得セシメント欲シタルモノニ外ナラサルカ故ニ該催告ハ債権者カ履行ヲ求ムル債務ノ内容ヲ債務者ニ知ラシムル程度ノモノタレハ足リ給付ノ目的カ金銭ナル場合ニ於テモ其ノ金額ノ如キハ必スシモ之ヲ明示スルコトヲ要スルモノニ非ス」
と、判示しています。
イについて、大判昭和15年9月3日は
「民法第五百四十一条所定ノ契約解除ノ前提タル履行ノ催告自体ニ不履行ノ場合契約ヲ解除スヘキ旨ノ警告ヲ包含スルコトヲ要スルモノニ非サルコトハ同法条ノ文言ニ徴スルモ明白ナリ蓋シ当事者ノ一方ヨリ履行ノ催告ヲ受ケナカラ相当期間内ニ其ノ債務ヲ履行セサル相手方ハ之カ為契約ヲ解除セラルルコトアルヘキコトヲ自ラ予期セサルヘカラサルヤ固ヨリ当然ナレハナリ」
と、判示しています。
したがって、上記記述は、アが正しく、イが誤りです。