刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 797

乙:甲先生と、ディッシュ トウキョウガストロノミーカフェに行きたいです。

今日の問題は

エ.判例の趣旨によれば,取締役会設置会社の唯一の株主がその保有する譲渡制限株式を他に譲渡した場合には,取締役会の決議による承認がないときであっても,その譲渡は,当事者間だけではなく,会社に対する関係においても,有効である。

甲先生、よろしくお願いします!


甲:最判昭和48年6月15日は

「商法二〇四条一項但書は、株式の譲渡につき、定款をもつて取締役会の承認を要する旨定めることを妨げないと規定し、株式の譲渡性の制限を許しているが、その立法趣旨は、もつぱら会社にとつて好ましくない者が株主となることを防止することにあると解される。そして、右のような譲渡制限の趣旨と、一方株式の譲渡が本来自由であるべきこととに鑑みると、定款に前述のような定めがある場合に取締役会の承認をえずになされた株式の譲渡は、会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間においては有効であると解するのが相当である。
ところで、株式を譲渡担保に供することは、商法二〇四条一項にいう株式の譲渡にあたると解すべきであるから、叙上の場合と同様、株式の譲渡につき定款による制限のある場合に、株式が譲渡担保に供されることにつき取締役会の承認をえていなくとも、当事者間では、有効なものとして、株式の権利移転の効力を生ずるものというべきである。
してみると、これと同旨の原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。」

最判平成5年3月30日は

「 原審の適法に確定したところによると、上告人の全株式二万株を保有していたDは、このうち一万二〇〇〇株を被上告人B1に、三〇〇〇株を同B3に譲渡したが、右各譲渡については、上告人の定款所定の取締役会の承認はなかったというのである。
ところで、商法二〇四条一項ただし書が、株式の譲渡につき定款をもって取締役会の承認を要する旨を定めることを妨げないと規定している趣旨は、専ら会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、もって譲渡人以外の株主の利益を保護することにあると解される(最高裁昭和四七年(オ)第九一号同四八年六月一五日第二小法廷判決・民集二七巻六号七〇〇頁参照)から、本件のようないわゆる一人会社の株主がその保有する株式を他に譲渡した場合には、定款所定の取締役会の承認がなくとも、その譲渡は、会社に対する関係においても有効と解するのが相当である。
原判決にはその説示において必ずしも適切でないところがあるが、前示の各株式譲渡は上告人に対する関係においても有効とした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、採用することができない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、正しいです。