刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1009

乙:But how many heartaches must I stand
Before I find a love

出典:https://genius.com/The-supremes-you-cant-hurry-love-lyrics

感想:真面目な歌詞。


今日の問題は、司法試験平成29年民法第4問イ.です。

甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡した後に,CがBとの間で甲土地についてCを予約者とする売買予約を締結した場合,仮装譲渡についてCが予約成立の時に善意であっても,予約完結権行使の時に悪意であれば,Cは,Aに対し,甲土地の所有権を主張することができない。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:アシュモレアン博物館。。

乙:民法94条は

「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」

と、規定しています。

最判昭和55年9月11日は

「 一 上告人の反訴請求は、要するに、(1) 上告人は、前記上告理由第一点及び第二点に対する判示中に明らかにされたように、訴外Dに対し、合計四九五万一〇〇〇円を貸し付け、本件不動産につき転抵当権の設定を受けたから、右貸付の時点で訴外Dの被上告人に対する仮装の貸付金債権につき法律上の利害関係を生じたものであるところ、右貸付の当時、上告人は右貸付金債権が仮装のものであることを知らなかつたから、民法九四条二項の善意の第三者に該当する、(2) その後、昭和四七年三月二一日、上告人と訴外Dとの間で、同訴外人において上告人に対し、前記貸金合計四九五万一〇〇〇円と他二口の貸金合計三〇万円とを併せて同月末日限り支払うとの裁判上の和解が成立した、(3) 上告人は、昭和五〇年一一月二六日、右和解調書に基づき、訴外Dを債務者とし、被上告人を第三債務者として右貸付金債権七〇〇万円のうち四九五万一〇〇〇円について債権差押及び取立命令を得、右決定正本はそのころそれぞれ訴外Dと被上告人に送達された、と主張して、上告人に対して右四九五万一〇〇〇円の支払を求める、というのである。
二 思うに、民法九四条二項所定の第三者の善意・悪意は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至つた時期を基準として決すべきものと解するのが相当であるところ、本件反訴において、上告人は、転抵当権を行使するのではなく、その主張の貸金債権についての債務名義である和解調書に基づく強制執行として得た債権差押及び取立命令による取立権を行使するものであるから、上告人が本件原抵当権の被担保債権である貸付金債権七〇〇万円のうち四九五万一〇〇〇円について利害関係を有するに至つたのは、上告人が訴外Dに右金員を貸し付けて転抵当権の設定を受けた時ではなく、上告人がこれにつき債権差押命令を得た昭和五〇年一一月二六日である、と解すべきものである。しかるところ、原審の確定するところによれば、本件原抵当権及びその被担保債権が仮装のものであることを主張して本件転抵当権設定登記の抹消を求める被上告人の本訴の訴状が上告人に送達されたのは昭和四九年七月一九日であり、その後の訴訟の経過により、上告人は、前記債権差押命令を得た当時、本件原抵当権が虚偽表示によるものであつて、その被担保債権が存在しないことを知つていた、というのであるから、上告人がその差押にかかる四九五万一〇〇〇円の債権が存在しなかつたことについて民法九四条二項所定の善意の第三者といえないことは明らかである。してみれば、これと同旨の判断のもとに上告人の反訴請求を排斥した原審の判断は、正当である。」

最判昭和38年6月7日は

「通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物権取得の法律関係につき、予約権利者が民法第九四条第二項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである旨の原判示は、同条の法意に照し、正当である。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、正しいです。