刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 723

乙:先日、甲先生と頂いたディナーの画像です。

イメージ 1


今日の問題も、2問あります。

ア. 将来発生するかどうか不確実な債権について抵当権の設定登記がなされた場合,抵当権設定者は,被担保債権の不存在を理由として,抵当権者に対して,抵当権設定登記の抹消を求めることができる。
オ. Xが所有する甲不動産について,Yに対して抵当権を設定して金銭を借り入れるとともに,Aが,XのYに対する借入れ債務を担保するため,Yとの間で連帯保証契約を結んだ場合,Aが借入れ債務を全額弁済したとしても,Xは,Yに対して,抵当権設定登記の抹消を求めることはできない。



甲先生、よろしくお願いします!


こ、甲先生!?


甲:あまいね。。


乙:アについて、最判昭和33年5月9日は

「上告人が被上告人に対し、被上告人が将来その保証債務の履行により訴外会社の被上告人に対し負担すべき求償債務を上告人において重畳的に引受け、その支払の責に任ずる旨を約し、その限度を上告人の被上告人に対する別途金一〇万円の債務を加えて金一〇〇万円と協定し、右金一〇〇万円の債務を担保するため本件抵当権を設定することを約したものであるが、右抵当権の設定登記に当り、当事者合意のうえ、上告人が恰も被上告人より金一〇〇万円を借り受け、その債務を担保するため抵当権を設定するが如き旨の抵当権設定登記手続をなしたものであるというのである。然らば当事者は真実抵当権を設定する意思の下に抵当権設定を約したものであつて、本件抵当権設定について所論の如き虚偽表示が存するものではない。しかし、本件被担保債権の大部分は将来成立すべき条件付債権であるのに、恰も上告人が被上告人より金一〇〇万円を借り受けた如きものとして抵当権設定登記手続をなしたことは、この点について事実と登記の間に不一致が存するわけであるが、かゝる場合でも当事者が真実その設定した抵当権を登記する意思で登記手続を終えた以上、この登記を以て当然に無効のものと解すべきものではなく、抵当権設定者は抵当権者に対し該登記が事実に吻合しないことを理由として、その抹消を請求することはできないものと云わねばならない。」

と、判示しています。


オについて、民法500条は

「弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。」

同法501条は

「前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。
一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。
二 第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。
三 第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
四 物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。
五 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
六 前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、アが誤りで、オが正しいです。