刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1194

乙:If you like to do whatever you've been dreaming about

Then, baby, you're perfect

Baby, you're perfect

So let's start right now

 

出典:One Direction – Perfect Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:はっきりした歌詞。

 

今日の問題は、新司法試験平成19年第1問です。

 

【事 例】
 甲は,女子中学生を自動車に乗車させるなどしてホテルの一室に連行し,睡眠薬を服用させて熟睡させた上,同女にわいせつな行為をすることを企て,自動車を運転中に見かけた女子中学生乙(14歳)に対し声を掛け「君のお母さんが交通事故に遭って病院に運ばれた。私は病院から頼まれて君を迎えに来た。お母さんのいる病院まで連れて行ってあげるから車に乗って。」と虚偽の事実を述べた。甲の言葉を信じた乙が甲運転車両の後部座席に乗車すると,甲は,同車を運転して同所から約10キロメートルの地点にあるホテルAに向かった。甲は,同車を走行中,信号待ちをしている間にあらかじめ用意しておいた缶飲料を開け,密かに睡眠薬を混入させた上,「飲むと落ち着くよ。」と述べて乙に手渡した。乙は,甲から手渡された睡眠薬入りの缶飲料を飲むと間もなく眠り込んだ。
 甲は,乙を自動車に乗車させてから約30分後にホテルAに到着すると,眠り込んだままの同女を抱きかかえて同ホテルの一室に連れ込み,ベッドに横たえた上で部屋の出入口ドアを施錠したところ,同女が目を覚ました。乙は,母親が入院している病院ではなくホテルの一室に自分が連れ込まれていることに気付き,室外に逃げ出すため出入口ドアに近づこうとした。甲は,わいせつな行為を乙が熟睡している間にすることで犯行の発覚を免れようと計画していたことから,同女が目を覚ました以上わいせつな行為は断念せざるを得ないが,捕まらずに逃げるために,当分の間同女を室内にとどめて人と接触させないようにしなければならないと考えた。そこで,甲
は,出入口ドアの前に立ちふさがり,乙が出入口ドアに近づくのを妨げるとともに,同女に対し「部屋の中で大人しくしていろ。外には見張りがいるので逃げようとしても無駄だ。勝手に部屋から出ようとしたら痛い目に遭わせてやる。」と述べて同女を脅した上で,同女を残して1人で部屋を出て,そのまま自動車を運転してホテルAから立ち去った。
 乙は,甲に脅されたため,勝手に室外に出ると暴力を振るわれるのではないかと恐れて室内にとどまっていたが,目を覚ましてから約1時間後に意を決して出入口ドアを開けたところ見張りなどいないことに気付き,室外に出て同ホテルのフロントに助けを求めた。
1. 未成年者誘拐罪(刑法第224条 ),わいせつ目的誘拐罪(刑法第225条 ,監禁罪(刑法第220条)及び脅迫罪(刑法第222条第1項)が成立する。
2. わいせつ目的誘拐罪,監禁罪及び準強制わいせつ未遂罪(刑法第179条,第178条第1項)が成立する。
3. 未成年者誘拐罪,監禁罪及び準強制わいせつ未遂罪が成立する。
4. わいせつ目的誘拐罪,脅迫罪及び準強制わいせつ未遂罪が成立する。
5. 未成年者誘拐罪及び監禁罪が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法225条は

 

「営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。」

 

同法224条は

 

「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

「本罪は,わいせつ又は結婚目的の場合,親告罪である(刑229条)。本罪の客体には,成年者,未成年者のいずれも含まれる。未成年者については,本罪は未成年者略取・誘拐罪の加重類型であり,本罪が成立する場合には,本罪の規定のみが適用される(法条競合)。」

 

 山口厚『刑法』236-237頁

 

同法178条1項は

 

「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。」

 

同法176条は

 

「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、2が正しいです。

しほうちゃれんじ 1193

乙:What about love

 

出典:Heart – What About Love? Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:what about よりもhow aboutのほうが言いやすい。

 

今日の問題は、司法試験平成29年刑法第2問アとエです。

 

ア.営利の目的で未成年者を買い受けた場合,未成年者買受け罪のみが成立する。
エ.未成年者誘拐罪は親告罪である。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:アについて、刑法226条の2第2,3項は

 

 「2 未成年者を買い受けた者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
3 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を買い受けた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

エについて、刑法229条は

 

「第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」

 

同法224条は

 

「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、アが誤りで、エが正しいです。

しほうちゃれんじ 1192

乙:Oh, who can it, who can it

 

出典:Men at Work – Who Can It Be Now? Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:たまに「受かる受かる」と聞こえる 。

 

今日の問題は、司法試験平成27年刑法第5問1と4です。

 

1.甲は,Xを眠らせてXが左腕に着けていた高級腕時計を外して持ち去ろうと考え,Xに多量の睡眠薬を飲ませたが,Xが眠らなかったため,Xの腕時計に触れることすらできなかった。甲には昏酔強盗未遂罪が成立する。
4.甲は,X方の居間に置かれた金庫に多額の現金が入れてあることを知り,これを盗む目的で,X方の無施錠のドアから玄関に入ったが,Xにその場で発見されたため,逃走した。甲には窃盗未遂罪が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:1について、刑法250条は

 

「この章の罪の未遂は、罰する。」

 

同法239条は

 

「人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。」

 

と、規定しています。

 

4について、刑法250条は

 

「この章の罪の未遂は、罰する。」

 

同法235条は

 

「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和23年4月17日は

 

「 しかし、原判決の認定するところによれば、被告人等は、共謀の上馬齢薯その他
食料品を窃取しようと企てA方養蚕室に侵入し、懐中電燈を利用して食料品等を物
色中、警察官等に発見せられて、その目的を遂けなかつたというのであつて、被告
人等は、窃盗の目的で他人の屋内に侵入し、財物を物色したというのであるから、
このとき既に、窃盗の着手があつたとみるのは当然である。従つて、如上判示の事
実をもつて、住居侵入、窃盗未遂の罪にあたると判断した原判決は正当である。
 論旨は、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、若しくは、原審の認定し
ていない事実を前提として原審の判断を攻撃し、本件窃盗は、未だ着手に至らなか
つたと主張するもので、上告の理由として採用することはできぬ。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、1が正しく、4が誤りです。

しほうちゃれんじ 1191

乙:I want you back for good

 

出典:Take That – Back for Good Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:for goodがgirlに聞こえていた。

 

今日の問題は、新司法試験平成21年刑事系第9問3と5です。

 

3.甲は,A会社の経理担当者として,同社のパソコン記憶装置内の会計帳簿ファイルにデータを入力する権限を有していたが,自己の横領行為を隠ぺいするため,同ファイルに虚偽のデータを入力して記憶させた。甲は,私電磁的記録である同ファイルにデータを入力する権限を有しているので,甲には私電磁的記録不正作出罪は成立しない。
5.Aの代理人でない甲は,行使の目的で,「A代理人甲」と署名し,その横に「甲」と刻した印鑑を押してA所有の不動産の売買契約書を作成した。同契約書については,Aが作成名義人であるので,甲には有印私文書偽造罪が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

 

甲:3について、刑法161条の2第1項は

 

「人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」

 

と、規定しています。

 

5について、刑法159条1項は

 

「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」

 

と、規定しています。

 

 

大判明治42年6月10日は

 

「原判決ニ依レハ被告ハ小板久馬吉ヨリ同人ノ署名アル賣渡價格二百圓ノ賣渡契約書ヲ受取リ同金員ニテ本件電話ノ買戻約款附賣渡ヲ爲スコトヲ依頼セラレタル事實ハアレトモ右久馬吉ノ代人名義ニテ岩橋繁藏宛ノ賣渡價格三百圓ノ賣渡契約書ヲ作成スルコトヲ依頼セラレタル事實ハ之レナキモノナレハ從テ被告ニ該契約書ヲ作成スルノ權限毫モ存スルコトナク前段ニ所謂被告カ賣渡ヲ依頼セラレタル事實アルノ故ヲ以テ右契約書作成ノ權限ヲ得タルモノト速斷スルコト能ハサルヤ辯ヲ要セスシテ明カナリ而シテ凡ソ他人ノ代理者タル資格ヲ以テ文書ヲ作成スル場合ニ於テ其代理者ハ自己ノ爲メニ之ヲ作成スルモノニアラスシテ本人即チ被代理者ノ爲メニ之ヲ作成スルモノナレハ其文書ハ代理者其人ノ文書ニアラスシテ本人ノ文書ニ屬シ從テ該文書ハ代理者ニ對シ其效力ヲ生スルモノニアラスシテ本人ニ對シ其效力ヲ生スルモノト論定セサルヘカラス故ニ苟クモ他人ノ代理者タル資格ヲ詐リ文書ヲ作成スルニ於テハ其效果ハ直接ニ他人ノ署名ヲ詐リ文書ヲ作成シタル場合ト敢テ擇フ所ナキヲ以テ刑法第百五十九條第一項所定ノ犯罪中ニハ前記ノ所爲ヲモ包含スルモノニシテ右ハ本院ニ於テ既ニ判示シタル趣旨ナリトス(明治四十一年(れ)第八三九號事件、同年十一月十日判決)左レハ原判決ニ於テ被告カ小板久馬吉ノ代理者タル資格ヲ詐リ本件ノ契約書ヲ作成シテ之ヲ行使シタル所爲ヲ私文書ノ僞造及行使ノ罪ヲ構成スルモノト爲シタルハ相當ナルモ其所爲ニ擬スルニ刑法第百五十九條第一項ヲ以テセスシテ同條第三項ヲ以テシタルハ擬律ニ錯誤アル裁判タルヲ免レス何トナレハ右所爲ハ同條第一項ニ規定セル犯罪中ニ包含スルモノト解釋スヘキコト前示説明ノ如クナル以上ハ其所爲ニ對シテハ同條項ヲ適用スヘキハ當然ニシテ同條第三項ヲ適用スヘキモノニアラサルコト言ヲ俟タサレハナリ故ニ原判決ハ此點ニ於テ結局破毀セラルヘキ理由アルモノトス」

 

最決昭和45年9月4日は

 

「 他人の代表者または代理人として文書を作成する権限のない者が、他人を代表も
しくは代理すべき資格、または、普通人をして他人を代表者もしくは代理するもの
と誤信させるに足りるような資格を表示して作成した文書は、その文書によつて表
示された意識内容にもとづく効果が、代表もしくは代理された本人に帰属する形式
のものであるから、その名義人は、代表もしくは代理された本人であると解するの
が相当である(明治四二年六月一〇日大審院判決、判決録一五輯七三八頁参照)。
ところで、原判決の是認した第一審判決は、その罪となる事実の第一として、昭和
三八年八月六日に開かれた学校法人B理事会は、議案のうち、理事任免および理事
長選任に関する件については結論が出ないまま解散したもので、被告人Aを理事長
に選任したり、同被告人に、理事署名人として当日の理事会議事録を作成する権限
を付与する旨の決議もなされなかつたのにかかわらず、被告人らは、行使の目的を
もつて、理事会決議録と題し、同日山口県C高等学校理科室で行なわれた理事会に
おいて、被告人Aを理事長に選任し、かつ、同被告人を議事録署名人とすることを
可決したなどと記載し、その末尾に、理事録署名人Aと記載し、その名下に被告人
Aの印を押し、もつて、同被告人において権限のなかつた理事会議事録について署名人の資格を冒用し、理事会議事録署名人作成名義の理事会決議録なる文書を偽造
したと認定判示しているのである。そして、右理事会決議録なる文書は、その内容
体裁などからみて、学校法人B理事会の議事録として作成されたものと認められ、
また、理事録署名人という記載は、普通人をして、同理事会を代表するものと誤信
させるに足りる資格の表示と認められるのであるから、被告人らは、同理事会の代
表者または代理人として同理事会の議事録を作成する権限がないのに、普通人をし
て、同理事会を代表するものと誤信させるに足りる理事録署名人という資格を冒用
して、同理事会名義の文書を偽造したものというべきである。したがつて、前記の
とおり、これを理事会議事録署名人作成名義の文書を偽造したものとした第一審判
決およびこれを是認した原判決は、法令の解釈適用を誤つたものといわなければな
らない。
 また、右のような、いわゆる代表名義を冒用して本人名義の文書を偽造した場合
において、これを、刑法一五九条一項の他人の印章もしくは署名を使用してしたも
のとするためには、その文書自体に、当該本人の印章もしくは署名が使用されてい
なければならないわけである。ところが、原判決の是認した第一審判決は、前記の
とおり認定判示しているだけで、学校法人B理事会の印章もしくは署名が使用され
たとのことは判示していないのである。しかも、記録をみても、前記理事会決議録
なる文書に、右の印章や署名が使用されていたと認むべき証跡は存在しない。そう
すると、前記罪となる事実を同条項に問擬した第一審判決およびこれを是認した原
判決は、法令の解釈適用を誤つたものというほかはない。
 しかし、前記罪となる事実は、同条三項に該当するものであり、また、このほか
にも同条一項に該当する罪が存在し、処断刑にも変わりがないから、右の違法はい
まだ判決に影響を及ぼすものとは認められない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、3が誤りで、5が正しいです。

しほうちゃれんじ 1190

乙:I asked you not to talk to him

 

出典:Rick Springfield – Don't Talk to Strangers Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:依頼の意味でしょうか。

 

 今日の問題は、司法試験平成26年刑法第10問イです。

 

刑法第230条の2に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(中略)
【見 解】
A説:刑法第230条の2の規定は,名誉毀損罪について真実性の証明がなされたことを処罰阻却事由として定めたものである。
B説:刑法第230条の2の規定は,他人の名誉を毀損する表現の内容が証明可能な程度に真実であることを違法性阻却事由として定めたものである。
【記 述】
イ.B説に対しては,他人の名誉を毀損する表現をした者がその表現内容について真実であると信じた場合には,常に故意がないことになり相当でないという批判が向けられている。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法35条は

 

「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」

 

同法230条の2は

 

「前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」

 

と、規定しています。

 

 

「まず,①錯誤論で解決を図ろうとする立場として,a)真実性の証明による免責を違法性阻却事由と解し,厳格責任説の立場から,真実性の誤信が避けられなかった場合に,責任阻却による免責を肯定する見解,b)刑法230条の2は「訴訟法的規定」で,その実体法上の免責要件は「証明可能な程度の真実」であり,客観的な資料から「証明可能な真実」だと思えば故意が阻却されるとの見解が存在する。a)については厳格責任説を前提とする点,b)については故意阻却には客観的な限定を付することができず,軽率に真実と誤信しても免責せざるをえないはずだとの批判がある。次に,②違法論で解決を図ろうとする立場として,信頼すべき資料を基礎として,一応その事実を真実と判断するのが合理的だといえる場合には,正当行為(刑35条)として違法性が阻却されるとの見解がある。これに対しては,一般人の判断を誤らせる虚偽の事実の摘示に,名誉保護よりも優越する利益を肯定することはできず,違法性阻却を認めることには疑問があるとの批判がなされている。」

 

 山口厚『刑法』263頁

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。

しほうちゃれんじ 1189

乙:There is one question I'd really like to ask (One soul)
Is there a place for the hopeless sinner
Who has hurt all mankind just to save his own?

 

出典:The Wailers – One Love Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:askの意味に着目します。

 

今日の問題は、新司法試験平成20年刑事系第16問2と4です。

 

A. 器物損壊罪の「損壊」とは,物の効用を害する一切の行為をいう。信書隠匿罪は,物の「損壊」のうち,信書の「隠匿」を軽く処罰する規定である。信書を「隠匿」した場合には,信書隠匿罪が成立する。
B. 器物損壊罪の「損壊」とは,物の効用を害する一切の行為をいう。信書隠匿罪は,信書の「損壊」を軽く処罰する規定である。信書を「損壊」した場合には,信書隠匿罪が成立する。
C. 器物損壊罪の「損壊」とは,物の効用を害する行為のうち,物の全部又は一部を物理的に破壊するものをいう。信書隠匿罪は,信書の「隠匿」を処罰する規定である。信書を「隠匿」した場合には,信書隠匿罪が成立する。
2. Bの見解によれば,他人の信書を隠した場合には,器物損壊罪が成立する。
4. Cの見解によれば,他人の信書を破った場合には,器物損壊罪が成立する。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法261条は

 

「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

 

同法263条は

 

「他人の信書を隠匿した者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

 

と、規定しています。

 

2について

 

「毀棄の意義に関する効用侵害説からは,隠匿も毀棄に含まれることになるから,信書隠匿罪は,信書についてその非物理的毀棄をとくに軽く処罰したものと解されることになる(したがって,信書を物理的に毀棄した場合には,器物損壊罪が成立する)。」

 

山口厚『刑法』358-359頁

 

4について

 

「毀棄の意義に関する物理的損壊説からは,隠匿は毀棄には含まれないから,本罪は,信書についてその隠匿をとくに処罰する,器物損壊罪の拡張規定と解されることになる。」

 

 同358頁

 

 

したがって、上記記述は、2が誤りで、4が正しいです。

しほうちゃれんじ 1188

乙:I rise above or sink below

 

出典:Duncan Sheik – Barely Breathing Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:underではなくbelowを推奨。新国立競技場の水飲み場の英語表記が間違っていたそうです。

 

今日の問題は、司法試験平成29年刑法第17問エです。

 

 甲は,知り合いの女性乙を自己が運転する自動車に乗せて同車内において強いて姦淫しようと考え,乙に対し,「自宅まで送ってあげる。」とうそを言ったところ,乙は,これを信じて同車に乗り込んだが,甲の態度を不審に思い即座に同車から降りた。(強姦罪)

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法177条は

 

「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」

 

と、規定しています。

 

 

したがって、上記記述は、既遂にも未遂にもなりません。