乙:今日の問題は、新司法試験平成21年民事系第13問ウとエです。
ウ.質権は,譲り渡すことができない物についても設定することができる。
エ.不動産及び動産を目的とする質権設定契約は,目的物の引渡しによって効力を生ずるが,この引渡しは,簡易の引渡し又は指図による占有移転でもよい。
甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?
甲:Tell me where the fight is, tell me where the high is.
出典:https://youtu.be/Nhvx9TpH1TY
感想:fightはけんかなので嫌なこと、highは嬉しいことという感じでしょうか。
乙:ウについて、民法343条は
「質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。」
と、規定しています。
エについて、民法344条は
「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」
同法345条は
「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。」
と、規定しています。
「質権者は設定者に代理占有させることができない(345条)から,占有改定はここでいう引渡しにあたらない.その理由として,起草者は公示の目的を徹底するため,というが,不動産質権は後述のように登記によって公示されるし,動産質権は,確かに,占有改定を認めると公示されなくなるが,質権よりも強い所有権でさえ対抗要件は占有改定で足りるとされているのに,質権だけ公示を厳格にいうのは余り説得的ではない.そこで,占有改定を認めない根拠は,質権が留置的効力を本質とする担保物権であることに求めるべきだろう.
したがって,設定者さえ占有していなければ,必ずしも質権者が現実に占有する必要はないとされ,指図による占有移転でもよい.」
内田貴『民法Ⅲ 第3版 債権総論・担保物権』489-490頁
したがって、上記記述は、ウが誤りで、エが正しいです。