刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 478

乙:六本木ヒルズのママンとセアカゴケグモとの関係について、調べたいです。


今日の問題は、4問あります。

甲土地を所有するAが甲土地を占有するBに対し所有権に基づき甲土地の明渡しを請求する訴訟においてBが主張する抗弁の要件事実(中略)

イ. Bは,甲土地を賃借する旨をAと合意し,それに基づきAから甲土地の引渡しを受けた事実を主張立証すれば,請求棄却の判決を得ることができる。
ウ. Bは,甲土地に地上権の設定を受ける旨をAと合意し,それに基づき地上権設定登記をした事実を主張立証すれば,請求棄却の判決を得ることができる。
エ. Bは,甲土地について地上権設定登記を受けた事実を主張立証した場合においても,それにより適法に地上権の設定があったことは推定されず,請求棄却の判決を得ることができない。
オ. 甲土地の造成工事をしたBは,この工事に基づく請負代金債権の弁済がない事実を主張立証すれば,請求棄却の判決を得ることができる。


甲先生、よろしくお願いします!


こ、甲先生!?

甲:月曜日のグラミー賞が、たのしみですね。

乙:イについて、

「賃借権の場合,Yは,抗弁として,
① XとYとがその土地について賃貸借契約を締結したこと
② XがYに対し,①の契約に基づいてその土地を引き渡したこと
を主張立証することができる。」

司法研修所編『改訂 紛争類型別の要件事実』(法曹会)58頁


ウについて、民法177条は

「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」

と、規定しています。

「AからB,Cへの二重譲渡の例で,Bにとって第2譲受人Cは登記しなければ対抗できない第三者である.この場合のBCのように,両立しえない物権相互間で優劣を争う者,換言すれば「食うか食われるかの関係」にある者が「第三者」であるということができる.」

内田貴『民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論』455頁

エについて、最判昭和38年10月15日は

「一般の場合には、登記簿上の不動産所有名義人は反証のない限りその不動産を所有するものと推定すべきである(昭和三三年(オ)第二一四号同三四年一月一八日第一小法廷判決、民集一三巻一頁)けれども、登記簿上の不動産の直接の前所有名義人が現所有名義人に対し当該所有権の移転を争う場合においては右の推定をなすべき限りでなく、現所有名義人が前所有名義人から所有権を取得したことを立証すべき責任を有する」

と、判示しています。

オについて、民法295条は

「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。」

同法533条は

「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」

と、規定しています。


大判大正5年11月27日は

「請負契約ハ当事者ノ一方カ仕事ヲ完成スルコトヲ約シ相手方カ仕事ノ結果ニ対シ報酬ヲ与ウルコトヲ約スルニ因リテ成立スルモノニシテ即チ双務契約ナルヲ以テ当事者ノ一方ハ民法第五百三十三条ノ規定ニ依リ相手方カ其債務ノ履行ヲ提供スルマテ自己ノ債務ノ履行ヲ拒ムコトヲ得ヘク従テ相手方カ其債務ヲ履行セサル限リ自己ノ債務ヲ履行セサルモ遅滞ノ責ヲ負ウコトナシ」

と、判示しています。

「Yは,Xの代金支払請求に対し,
Xが目的物の引渡しをするまで代金の支払を拒絶する
との権利主張を同時履行の抗弁として主張することができる。同時履行の抗弁は,権利抗弁であり,これを行使することが要件である。そして,この抗弁を認めるときは,引換給付の判決をすべきである。」

司法研修所編『改訂 紛争類型別の要件事実』(法曹会)8頁



したがって、上記記述は、イとエが正しく、ウとオが誤りです。