刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2673

乙:今日の問題は、令和4年予備試験刑事訴訟法第15問エです。

 

勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのう
ちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。(中略)
エ.裁判所は、勾留されていない被告人について勾留の裁判をするに当たり、既に被告事件の審理の際に被告人から被告事件に関する陳述を聴いている場合には、改めて被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行う必要はない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:Well, it took a while but I see it now

 

出典:https://youtu.be/vugbC7dmzOU?feature=shared

 

感想:アルクによると、take a whileは、しばらく時間がかかる、という意味です。

 

乙:刑事訴訟法61条本文は

 

「被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。」

 

と、規定しています。

 

最判昭和41年10月19日は

 

「 思うに、刑訴法六〇条によると、裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、被告人が定まつた住居を有しないなど一定の事由があるときは、被告人を勾留することができることになつており、その時期については、なんらの制限もないのであるから、たとい上訴提起後であつても、右の要件があり、かつ勾留の必要がある場合には、被告人を勾留することができるものといわなければならない。ただ問題は、上訴提起後、訴訟記録がまだ上訴裁判所に到達していない場合に、被告人を勾留するのは、上訴裁判所か、それとも原裁判所かということであるが、この点については、刑訴法上明文の規定は存在しない。そこで、もしこれを上訴裁判所でなければならないとすると、上訴裁判所としては、訴訟記録が到達するまでは、勾留の要件や必要性の存否を知る方法がないため、勾留の手続をすることが事実上不可能で、いかに勾留の必要がある場合であつても勾留をすることができない事態を生ずることになる。このような事態の生ずることは、勾留が本来急速を要するものであることからみても、きわめて不合理で、とうてい法の予期するところではないというべきである。とすると、上訴提起後であつても、訴訟記録がまだ上訴裁判所に到達しない間は、原裁判所が勾留の権限を有すると解するのが相当であり、このように解するのが法の趣旨に合致するものであることは、刑訴法九七条二、三項および刑訴規則九二条二、三項が、上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、保釈もしくは勾留の執行停止をし、これを取り消し、または勾留理由の開示をするのは、原裁判所であると定めていることからもうかがうことができる。もつとも、逆に、右各条項に勾留の規定がないことを根拠にして、原裁判所は勾留をすることができないとする解釈も考えられないではない。しかし、右各条項に勾留の規定がないのは、勾留の必要がある事件については、判決前に勾留がなされているのが通例で、判決後に新たに勾留がなされる場合はまれであることから、すでに勾留がなされていることを前提にした事項だけを規定したものと解することができるのであつて、あえて原裁判所がみずから勾留をすることを否定しているとまでは解されない。以上のとおりであつて、原裁判所は、上訴提起後であつても、訴訟記録がまだ上訴裁判所に到達しない間は、被告人を勾留することができるものといわなければならない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。