刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 2690

乙:今日の問題は、令和4年予備試験行政法第21問ウです。

 

当事者訴訟に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述につ
いて、法令又は最高裁判所の判例に照らし(中略)
教員:行政事件訴訟法第4条は、当事者訴訟として、「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」と「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」の二つの類型を規定しています。これから、前者を「形式的当事者訴訟」、後者を「実質的当事者訴訟」と呼ぶこととしますが、まず、形式的当事者訴訟としては具体的にどのような訴訟がありますか。(中略)
教員:次に、実質的当事者訴訟としては具体的にどのような訴訟がありますか。
学生:(ウ)【公務員である原告が、職務命令への不服従を理由とする懲戒処分の予防を目的として、当該職務命令に基づく公的義務が存在しないことの確認を求める訴訟がこれに当たります。】

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:Cheer up sugar
It's now or never

 

出典:https://youtu.be/s-5A6FbHIUM?feature=shared

 

感想:アルクによると、now-or-never chanceは、今でなければ二度とない機会、などの意味です。

 

乙:行政事件訴訟法4条後段は

 

「この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。」

 

同法3条1項、2項は

 

「この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。」

 

と、規定しています。

 

最判平成24年2月9日は

 

「また,本件職務命令も,教科とともに教育課程
を構成する特別活動である都立学校の儀式的行事における教育公務員としての職務の遂行の在り方に関する校長の上司としての職務上の指示を内容とするものであって,教職員個人の身分や勤務条件に係る権利義務に直接影響を及ぼすものではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないと解される。なお,本件職務命令の違反を理由に懲戒処分を受ける教職員としては,懲戒処分の取消訴訟等において本件通達を踏まえた本件職務命令の適法性を争い得るほか,後述のように本件に係る事情の下では事前救済の争訟方法においてもこれを争い得るのであり,本件通達及び本件職務命令の行政処分性の有無について上記のように解することについて争訟方法の観点から権利利益の救済の実効性に欠けるところがあるとはいえない。」

 

最判令和元年7月22日は

 

「本件訴えは,本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分の予防を目的として,本件職務命令に基づく公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟であると解されるところ,このような将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟は,当該処分に係る差止めの訴えと目的が同じであり,請求が認容されたときには行政庁が当該処分をすることが許されなくなるという点でも,差止めの訴えと異ならない。また,差止めの訴えについては,行政庁がその処分をすべきでないことがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められること等が本案要件(本案の判断において請求が認容されるための要件をいう。以下同じ。)とされており(行政事件訴訟法37条の4第5項),差止めの訴えに係る請求においては,当該処分の前提として公的義務の存否が問題となる場合には,その点も審理の対象となることからすれば,上記無名抗告訴訟は,確認の訴えの形式で,差止めの訴えに係る本案要件の該当性を審理の対象とするものということができる。そうすると,同法の下において,上記無名抗告訴訟につき,差止めの訴えよりも緩やかな訴訟要件により,これが許容されているものとは解されない。そして,差止めの訴えの訴訟要件については,救済の必要性を基礎付ける前提として,一定の処分がされようとしていること(同法3条7項),すなわち,行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があることとの要件(以下「蓋然性の要件」という。)を満たすことが必要とされている。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。