刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 2695

乙:今日の問題は、令和3年司法試験民法第1問ウです。

 

失踪宣告に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし(中略)
ウ.失踪宣告を受けて死亡したものとみなされたAから甲土地を相続したBが,Cに甲土地を売却した後に,Aの失踪宣告が取り消された。この場合において,CがAの生存につき善意であったときは,Bがこれにつき悪意であったとしても,その取消しは,BC間の売買契約による甲土地の所有権の移転に影響を及ぼさない。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:It’s like watching ballet (full circle again, full circle again)
Full circle again

 

出典:https://youtu.be/0pAO5KLt7bw?feature=shared

 

感想:アルクによると、full circleは、元の状態、などの意味です。

 

乙:民法32条1項は

 

「失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。」

 

と、規定しています。

 

大判昭和13年2月7日は

 

「然レトモ民法第三十二条第一項但書カ失踪宣告後其ノ取消前ニ善意ヲ以テ為シタル行為ノ効力ヲ認メタルハ善意ノ行為者ノ保護ヲ目的トスルコト勿論ナルモ其ノ行為カ契約ナル場合ニハ当事者双方カ善意ナリシトキニ限リ其ノ効力ヲ認ムル趣旨ナリト解スヘキモノトス蓋右行為ノ効力ヲ認ムル結果トシテ失踪者ハ失踪宣告ノ取消サレタルニ拘ラス本来ノ権利状態ヲ回復シ得サルノ不利益ヲ受クヘキカ故ニ右行為カ契約ナル場合ニ斯カル結果ヲ生セシムルニハ当事者ノ一方ノミノ善意ナリシヲ以テ足レリトセス其ノ双方ノ善意ナリシコトヲ要スルモノト解スルヲ妥当トスレハナリ第一点論旨ハ之ニ反スル見解ヲ主張スルモノニシテ理由ナシ而シテ本件ニ於テ被上告人ノ失踪宣告ニ基キ坂脇タケカ家督相続ヲ為シ本件土地ヲ承継取得シタルモノトシテ之ヲ園田秀次ヘ同人ハ更ニ之ヲ上告人ヘ順次売渡シタルモ其ノ後被上告人カ尚現ニ生存セル為失踪宣告ハ取消サルルニ至リタル事実及坂脇タケト上告人トハ右各売買当時被上告人ノ生存ヲ知リ居リタル事実ハ原判決ノ確定シタル所ナレハ右各売買ハ其ノ当事者ノ一方タル園田秀次ノ善意ナルト否トヲ問ハス失踪宣告ノ取消ニ因リテ効力ヲ失ヒ本件土地ノ所有権ハ当然被上告人ニ復帰セルモノトス従テ被上告人カ其ノ所有権ニ基キ上告人ニ対シ無効ノ売買ニ因ル所有権取得登記ノ抹消手続ヲ請求スル本訴ハ正当ナリト云ハサルヘカラス園田秀次ノ善意ヲ認定スヘキコトヲ主張スル第四点論旨ノ理由ナキコト自ラ明ナリ右ノ如ク本件土地ノ所有権ハ失踪宣告ノ取消ニ因リ当然被上告人ニ復帰セルモノナルカ故ニ被上告人カ其ノ所有権ニ基キテ為ス本訴請求ハ民法第三十二条第二項ニ所謂失踪宣告ニ因リテ財産ヲ得タル者ニ対シ其ノ取消ニ因リテ財産ノ返還ヲ請求スルモノニ非ス又不当利得返還請求ニモ非サルカ故ニ之ニ付民法第三十二条第二項第七百四条ヲ適用スヘキコトヲ主張スル第二、三、五点各論旨ハ総テ理由ナシ」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、誤りです。