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しほうちゃれんじ 2749

乙:今日の問題は、令和3年司法試験憲法第13問イです。

 

憲法第9条の解釈に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判とな
っている場合(中略)
イ.a.憲法第9条第1項は,侵略戦争を放棄しているが,自衛戦争は放棄しておらず,同条第
2項にいう「前項の目的」とは,第1項全体の精神,すなわち「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」を指し,第2項によって警察力を上回る実力の保持が禁じられている。
b.日本国憲法には,第66条第2項の文民条項を除き,戦争開始の決定手続や軍隊の編制に関する規定が存在しない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

 

甲:There’s a nutter on the loose and they're walking the streets

 

出典:https://youtu.be/ISvRuQEmvKY?feature=shared

 

感想:アルクによると、on the looseは、〔脱獄囚・飼育動物などが〕逃亡して、などの意味です。

 

乙:憲法9条1項は

 

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 

と、規定しています。

 

「以上の戦争の放棄には、「国際紛争を解決する手段としては」という留保が付されている。従来の国際法上の通常の用語例(たとえば不戦条約一条参照)によると、「国際紛争を解決する手段としての戦争」とは、「国家の政策の手段としての戦争」と同じ意味であり、具体的には、侵略戦争を意味する。このような国際法上の用例を尊重するならば、九条一項で放棄されているのは侵略戦争であり、自衛戦争は放棄されていないと解されることになる(甲説)。これに対して、従来の国際法上の解釈にとらわれずに、およそ戦争はすべて国際紛争を解決する手段としてなされるのであるから、一項において自衛戦争も含めてすべての戦争が放棄されていると解すべきであると説く見解(乙説)も有力である。」

 

「甲説をとっても、二項について、「前項の目的を達するため」に言う「前項の目的」とは、戦争を放棄するに至った動機を一般的に指すにとどまると解し、二項では、一切の戦力の保持が禁止され、交戦権も否認されていると解釈すれば、自衛のための戦争を行うことはできず、結局すべての戦争が禁止されていることになるので、乙説と結論は異ならなくなる。これが通説であり、従来、政府もほぼこの立場をとってきた。

 ただし、九条一項は侵略戦争のみを放棄しているとして、前述の甲説の解釈をとる一方で、二項については、「前項の目的を達するため」とは、「侵略戦争放棄の目的を達するため」ということであり、したがって、二項は、侵略戦争放棄のための戦力は保持しないとの意であり、また交戦権の否認は交戦国がもつ諸権利は認めないとの意を述べるにとどまると解する説もある。」

 

「しかし、この説には次のような問題がある。①日本国憲法には、六六条二項の文民条項以外は、戦争ないし軍隊を予定した規定がまったく存在しないこと」「などがそれである。」

 

芦部信喜『憲法』57-58頁

 

 

したがって、上記記述は、批判となっていません。