刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 928

乙:甲先生は、tax dayについて、どう思われますか?

今日の問題は、辰巳短答憲民刑モーニングシャワー問題19です。

占有者の身分を持たない甲は,業務上占有者たる身分を持つ乙と共同して,乙の占有する物品を横領した。この場合,甲には65条1項により業務上横領罪の共同正犯が成立するが,同条2項により単純横領罪の刑が科せられる。

甲先生、よろしくお願いします!

甲:刑法65条は

「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。
2 身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。」

と、規定しています。

最判昭和32年11月19日は

「 原審の是認した第一審判決の認定した判示第一事実は、被告人Aは元稲敷郡a村々長及び同村新制中学校建設工事委員会の工事委員長、同Bは元同村助役及び同工事委員会の工事副委員長として右Aを補佐していたものであるが、当時同村収入役として出納その他の会計事務を掌り、傍ら前示中学校建設委員会の委託を受け同校建設資金の寄附金の受領、保管その他の会計事務を管掌していたEと共謀の上、同人が昭和二四年四月一〇日頃から同年一〇月一一日頃までの間稲敷郡a村F外一九〇余名から学校建設資金として前記工事委員会又はa村に対する寄附金として合計金二三一、五五〇円目を受け取りこれを業務上保管中、該金員中から合計金八一、六四七円を別表記載の如く昭和二四年七月二三日頃から同年一二月頃までの間ほしいままに稲敷郡a村G方外一個所において、同人外一名から酒食等を買い入れてこれが代金として支払い、もつてこれを費消横領したというのであり、挙示の証拠によると、右Eのみが昭和二四年四月一〇日頃より同年八月三〇日までの間右中学校建設委員会の委託を受け同委員会のため、昭和二四年八月三一日より同年一二月頃までの間a村の収入役として同村のため右中学校建設資金の寄附金の受領、保管その他の会計事務に従事していたものであつて、被告人両名はかかる業務に従事していたことは認められないから、刑法六五条一項により同法二五三条に該当する業務上横領罪の共同正犯として論ずべきものである。しかし、同法二五三条は横領罪の犯人が業務上物を占有する場合において、とくに重い刑を科することを規定したものであるから、業務上物の占有者たる身分のない被告人両名に対しては同法六五条二項により同法二五二条一項の通常の横領罪の刑を科すべきものである。しかるに、第一審判決は被告人両名の判示第一の所為を単に同法二五三条に問擬しただけで、何等同法六〇条、六五条一項、二項、二五二条一項を適用しなかつたのは違法であり、この違法は原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる(なお、原判決は、所論判例違反の点につき何ら判示をしていないこと判文上明らかであるから、論旨援用の判例と相反する判断をしたものということはできない。)。
同第二点は、事実誤認の主張であり(かりに、所論の事実に誤認があるとしても、該事実は五五回にわたる総額八一、六四七円の費消横領の事実中の一事実にすぎないものであるから、判決に影響を及ぼさないことが明らかである。)、同第三点は、事実誤認、訴訟法違反の主張を出でないものであつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
被告人A、同Bの各上告趣意は、いずれも事実誤認、訴訟法違反の主張に帰するものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(なお、第一審判決が証拠に採用している被告人両名の検事に対する供述調書が、強要等にもとづく虚偽のものである旨の事実は、記録上これを認めるに足る事跡が存しない。)。
職権により調査すると、原審の維持した第一審判決は、被告人Aの判示第二の所為に刑法二五三条を適用しているが、その判文において、同被告人がa村々長また同村新制中学校建設工事委員長として第一審判示金円を保管占有すべき何等かの業務を有していたかの点につき何ら判示するところがないから、通常の横領罪を認定したものと解するの外なく、かかる違法は原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものといわなければならない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、正しいです。