刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 1107

乙:A champagne supernova in the sky   

 

出典:

https://www.azlyrics.com/lyrics/oasis/champagnesupernova.html

 

感想:アメリカのバンドと思っていた。

 

 

今日の問題は、新司法試験プレテスト民事系第30問です。

 

ア.借地上の建物の所有権を取得した第三者は,借地借家法に基づく建物買取請求権を行使した場合,買取代金支払まで建物の引渡しを拒むことができるが,建物の使用を継続した期間に応じて建物賃料相当額の不当利得返還責任を負う。
イ.給付判決確定後にそれと実体的法律関係の矛盾が判明したが,それが故意による判決効の詐取に該当しない場合には,再審の訴えによらない限り,その判決に基づき行われた給付について,不当利得の返還は請求できない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:とうしんしんたく。。

 

乙:ア について、最判昭和35年9月20日は

 

「 建物買取請求権を行使した後は、買取代金の支払あるまで右建物の引渡を拒むこ
とができるけれども、右建物の占有によりその敷地をも占有するかぎり、敷地占有
に基く不当利得として敷地の賃料相当額を返還すべき義務あることは、大審院の判
例とするところであり(昭和一〇年(オ)第二六七〇号、同一元年五月二六日、民
集一五巻九九八頁)、いまこれを変更する要を見ない。されば、これと相容れない
所論は採用し得ない。」

 

と、判示しています。

 

民法575条1項は

 

 「まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。」

 

と、規定しています。

 

「借地上の建物の譲受人が,借地権の譲渡を承認しない地主に対して家屋の買取請求をし,地主が建物の代金を支払わないため,同時履行の抗弁権によって建物の引渡しを拒絶していた場合について、判例(最判昭35.9.20)は,その間の地代相当額は,不当利得として支払わなければならないとしている。とすると,本記述の場合において,借地上の建物の所有権を取得し,建物買取請求権を行使した第三者は,買取代金支払まで建物の引渡しを拒むことができるが,建物の使用を継続した期間に応じて、土地の賃料相当額については,不当利得返還責任を負うことになる。ただ,これはあくまで,土地の賃料相当額についての問題であり,本記述にあるように建物の賃料相当額については,買取請求権者が,建物代金の支払を受けない間,建物の果実収取権が認められること(575条1項参照)から,不当利得返還責任は生じない。とすると,本記述において,第三者は,建物賃料相当額の不当利得返還責任を負わないこととなる。」

 

辰巳法律研究所『平成26年版 司法試験&予備試験 短答過去問パーフェクト4 民事系民法② 』1164頁

 

 

イについて、民事訴訟法114条1項は

 

「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。」

 

と、規定しています。 

 

「本記述においては,給付判決が確定しているが,この場合,確定判決の既判力によって,当事者は,既判力の生じた判断内容について基準時以前に存在した事由を主張してこれを争うことは,再審の訴え(民訴法338条以下)によらない限りできないことになる(遮断効)。そして,当該確定判決においては,主文中の,原告が被告に対して給付請求権を有することを認める旨の判断について,既判力が生じることになる(民訴法114条1項)。とすると,当該判決と矛盾する実体的法律関係が後になって判明してもこれを主張することはできず,再審の訴えによらない限り,当該判決に基づき行われた給付について不当利得返還請求はできないことになる。」

 同頁

 

したがって、上記記述は、アが誤りで、イが正しいです。