刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1278

乙:So I'ma dedicate this one verse to Oprah

On how the infamous, sensitive N-word control us

So many artists gave her an explanation to hold us



出典:Kendrick Lamar – ​i (Album Version) Lyrics | Genius Lyrics


感想:infamousは無名のという意味ではない。発音注意。



今日の問題は、司法試験平成25年民事系第55問アとイです。


小売商Aと卸売商Bは,Aを買主とし,Bを売主とする衣料品の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し,その売買代金債務(以下「本件原因債務」という。)の支払を目的として,Aは,Bを受取人とする確定日払の約束手形(以下「本件手形」という。)を振り出した。Bは,本件手形を誰にも譲渡していない。

この取引におけるA・B間の法律関係に関する(中略)

ア.Bが,本件売買契約に基づく衣料品の納入に係る債務を履行しないまま,支払呈示期間内に本件手形の支払呈示をした場合でも,Aは,手形金の支払を拒むことはできない。

イ.判例によれば,本件手形の振出し後に本件原因債務が時効により消滅した場合には,Aは,これを抗弁として,Bに対し,手形金の支払を拒むことができる。


甲先生、よろしくお願いします!



甲:アについて、最判昭和35年7月8日は


 本件為替手形は、上告人Aの被上告人に対する判示商品売買代金債務の支払確保のため上告人において振出し、かつ引受けたものであることは原判決の確定するところである。

 そして右手形は他の権利と共に被上告人から株式会社D銀行に対し、債務担保のため裏書譲渡されたことはまた原判決の確定するところであるけれども、既存債務の支払確保のために振出交付された手形は、債権者債務者間に裏書禁止の特約のない場合には、債務者から既存債務の履行のないかぎり、債権者において該手形を第三者に対し更に担保のため裏書譲渡することは妨げなく、しかも、右裏書の事実によつて直ちに債務者は既存債務の支払を免れるものでなく、債権者において右手形の裏書人としての償還義務を免れるまでは債務者に対する既存の債権は消滅するものでないと解すべきことは原判示のとおりであつて、所論のように、債権者は償還義務の履行その他の方法によつて右手形を自己に回収するまでは既存債権を行使し得ないものと解すべき根拠はないのであるから、論旨は採用することができない。

もつとも、かかる場合債務者は、特段の事由のないかぎり、既存債務の支払は手形の返還と引換にする旨の同時履行の抗弁を為し得るものと解すべきである(昭和二九年(オ)第七五八号、同三三年六月三日第三小法廷判決、民集一二巻九号一二八七頁参照)けれども、上告人は原審においてかかる抗弁を提出した形迹はないのみならず、原判決の認定するところによれば、本件当事者間には「本件五十万円の債務を決済した後、被上告人から右手形が無効に帰した旨の証明文書を手交する」旨の特約が成立したというのであるから、既存債務の履行と手形の返還とが同時履行の関係に立つものでないこともあきらかである。


と、判示しています。


イについて、最判昭和43年12月12日は


上告会社の被上告人Bに対する売掛代金債権が本訴提起前に民法一七三条所定の二年の時効期間の満了によつて消滅し、同被上告人は右事由をもつて上告会社からの本件為替手形金の請求を拒むことができるとした原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法は存しない。論旨は独自の見解を前提として原審の右判断を非難するものにすぎず、採用することができない。


と、判示しています。



したがって、上記記述は、アが誤りで、イが正しいです。