刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1805

乙:今日の問題は、予備試験平成25年憲法第3問です。

集会の自由に関する(中略)
ア.集会の自由に対する不当な制約を防ぐため,集会の用に供される公共施設の利用許可申請を
公の秩序が害されるおそれを理由にして拒否することが許されるのは,明らかな差し迫った危
険の発生が具体的に予見される場合に限られる。
イ.集会の用に供される公共施設においてある集会を開催すると,それに反対する勢力が妨害行為を起こすことが確実に予想される場合,施設管理者が自らの管理権を行使するだけではその妨害行為による混乱を防止できないと判断すれば,当該集会を不許可とすることができる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Sitting in the summer sun

出典:https://youtu.be/FRSH-egVyzk

感想:アルクによると、sunには日光という意味もあります。


乙:アについて、最判平成7年3月7日は

「本件条例七条一号は、「公の秩序をみだすおそれがある場合」を本件会館の使用を許可してはならない事由として規定しているが、同号は、広義の表現を採っているとはいえ、右のような趣旨からして、本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、本件会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、前記各大法廷判決の趣旨によれば、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である(最高裁昭和二六年(あ)第三一八八号同二九年一一月二四日大法廷判決・刑集八巻一一号一八六六頁参照)。」

と、判示しています。


イについて、最判平成8年3月15日は

「本件条例六条一項一号は、「会館の管理上支障があると認められるとき」を本件会館の使用を許可しない事由として規定しているが、右規定は、会館の管理上支障が生ずるとの事態が、許可権者の主観により予測されるだけでなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に初めて、本件会館の使用を許可しないことができることを定めたものと解すべきである。
2 以上を前提として、本件不許可処分の適否について判断する。
(一) 本件不許可処分は、本件会館を本件合同葬のために利用させた場合には、上告人に反対する者らがこれを妨害するなどして混乱が生ずると懸念されることを一つの理由としてされたものであるというのである。しかしながら、前記の事実関係によれば、富岡館長が前記の新聞報道により田中部長の殺害事件がいわゆる内ゲバにより引き起こされた可能性が高いと考えることにはやむを得ない面があったとしても、そのこと以上に本件合同葬の際にまで上告人に反対する者らがこれを妨害するなどして混乱が生ずるおそれがあるとは考え難い状況にあったものといわざるを得ない。また、主催者が集会を平穏に行おうとしているのに、その集会の目的や主催者の思想、信条等に反対する者らが、これを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことができるのは、前示のような公の施設の利用関係の性質に照らせば、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られるものというべきである。ところが、前記の事実関係によっては、右のような特別な事情があるということはできない。なお、警察の警備等によりその他の施設の利用客に多少の不安が生ずることが会館の管理上支障が生ずるとの事態に当たるものでないことはいうまでもない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、イが誤りです。