刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 2580

乙:We were driving slow
But she’s picking up speed

 

出典:https://youtu.be/J7T0wgLE9Gw?feature=shared

感想:アルクによると、pick up speedは、スピードを増す、などの意味です。

 

今日の問題は、令和3年司法試験刑法第9問オです。

 

次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し(中略)
オ.甲は,面識のない他人のVと口論に及び,その首を絞めて窒息死させ,Vの死体をその場に放置して逃走した。この場合,甲には葬祭義務はなく,死体遺棄罪は成立しない。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

甲:刑法190条は

 

「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。」

 

と、規定しています。

 

大判大正6年11月24日は

 

「死體遺棄罪ハ葬祭ニ關スル良俗ニ反スル行爲ヲ罰スルニ在ルヲ以テ死體ヲ他ニ移シテ之ヲ遺棄スル場合ハ勿論葬祭ヲ爲スヘキ責務ヲ有スル者カ葬祭ノ意思ナクシテ死體ヲ放置シ其所在ノ場所ヨリ離去スル如キモ亦死體遺棄罪ヲ構成スルモノトス今原判示事實ハ被告ハ其所生ニ係ル嬰兒ヲ殺害セント企テテ之ヲ砂中ニ埋メ因テ窒息死ニ至ラシメ「尚其死體ヲ其儘同所ニ遺棄シタリ」トアリテ即チ被告ハ其嬰兒ヲ殺害シタル後其死體ヲ其儘放置シ所在ノ場所ヨリ離去シタルモノニシテ母ハ慣習上其死兒ノ葬祭ヲ爲スヘキ責務ヲ有スルコト明白ナレハ判示被告ノ所爲ハ殺人罪ノ外尚死體遺棄罪ヲ以テ論スヘキモノナリ又原判決摘示ノ證據ヲ綜合スレハ判示事實ヲ認ムルヲ得ルヲ以テ論旨ハ理由ナシ」

 

大判昭和8年7月8日は

 

「殺人罪ハ生命ナル個人的法益ニ對スル犯罪ナルニ反シ死體損壞乃至遺棄罪ハ死體ニ對スル一般宗教的感情ヲ害スル公益犯罪ニシテ二者其ノ性質ヲ異ニスルモノナルカ故ニ單ニ人ヲ殺シテ其ノ死體ヲ現場ニ其ノ儘ニ放置スルカ如キ場合ハ特ニ殺人罪ヲ犯シタル者ニ死體ニ付葬祭ヲ爲スヘキ責務アル場合ノ外ハ別ニ死體遺棄罪ヲ以テ問フヘキ限ニ在ラスト雖本件ニ於ケルカ如ク人ヲ殺害シタル上死體ヲ全裸體ト爲シテ其ノ頸部及左右上下肢ヲ順次切斷シタルノミナラス胴體ヲ雜木林ノ裡ニ又頭部ヲ溪流中ニ隱匿シタルカ如キニ至リテハ假令被告人ニ於テ所論ノ如ク其ノ死體ヨリ肝臟腦味噌等ヲ採取セントシテ再ヒ其ノ死體ノ存スル場所ニ來ルノ意思アリシトスルモ殺人罪ノ外ニ死體損壞遺棄罪ヲ構成スルヤ論ヲ俟タス然ラハ原判決カ被告人ニ判示犯罪事實ヲ認定シ之ヲ刑法第百九十九條及第百九十條ニ問擬シタルハ寔ニ相當ニシテ毫モ所論ノ如ク違法アルモノト謂フヘカラス論旨ハ理由ナシ(其ノ他ノ上告論旨及判決理由ハ之ヲ省略ス)」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、正しいです。