刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 440

乙:今日の問題は、2問あります。

2. 共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合,後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は,後見人自らが相続の放棄をした後にされたときは,後見人と被後見人との間において利益相反行為に当たらない。
3. 親権者が未成年の子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は,親権者による利益相反行為に当たる。



甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲: 『DESTINY 鎌倉ものがたり』はぜんぜんみないから、他の人をさがしてみて。。


乙:2について、最判昭和53年2月24日は

「共同相続人の一部の者が相続の放棄をすると、その相続に関しては、その者は初めから相続人とならなかつたものとみなされ、その結果として相続分の増加する相続人が生ずることになるのであつて、相続の放棄をする者とこれによつて相続分が増加する者とは利益が相反する関係にあることが明らかであ」る

「しかしながら、共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者を後見している場合において、後見人が被後見人を代理してする相続の放棄は、必ずしも常に利益相反行為にあたるとはいえず、後見人がまずみずからの相続の放棄をしたのちに被後見人全員を代理してその相続の放棄をしたときはもとより、後見人みずからの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえない」

と、判示しています。


3について、民法826条1項は


「親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。」

と、規定しています。

最判昭和37年10月2日は

「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法八二六条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であり、これに反し、親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効である」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、2が正しく、3が誤りです。