刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1018

乙:But we're never gonna survive, unless
We get a little crazy

出典:https://genius.com/Seal-crazy-lyrics

感想:文法が難しい。

今日の問題は、司法試験平成25年刑事系第13問4.です。

刑法第36条にいう「権利」には,生命,身体,自由のみならず名誉や財産といった個人的法益が含まれるので,自己の財産権への侵害に対して相手の身体の安全を侵害する反撃行為に及んでも正当防衛となり得る。

甲先生、よろしくお願いします!

甲:刑法36条は

「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」

と、規定しています。

最判平成21年7月16日は

「Bらが立入禁止等と記載した本件看板を本件建物に設置することは,被告人らの本件建物に対する前記2(3)の共有持分権,賃借権等を侵害するとともに,F宅建の業務を妨害し,被告人らの名誉を害するものといわなければならない。そして,Bの依頼を受けたCらは,本件
建物のすぐ前において本件看板を取り付ける作業を開始し,被告人がこれを取り上げて踏み付けた後も,Bがこれを持ち上げ,付けてくれと言ってCに渡そうとしていたのであるから,本件暴行の際,Bらはなおも本件看板を本件建物に取り付けようとしていたものと認められ,その行為は,被告人らの上記権利や業務,名誉に対する急迫不正の侵害に当たるというべきである。
そして,被告人は,BがCに対して本件看板を渡そうとしたのに対し,これを阻止しようとして本件暴行に及び,Bを本件建物から遠ざける方向に押したのであるから,Bらによる上記侵害から被告人らの上記権利等を防衛するために本件暴行を行ったものと認められる。
さらに,Bらは,前記2(2)及び(4)のとおり,本件建物のガラスを割ったり作業員を威圧したりすることによって被告人らが請け負わせた本件建物の原状回復等の工事を中止に追い込んだ上,本件建物への第三者の出入りを妨害し,同(3)の即時抗告棄却決定の後においても,立入禁止等と記載した看板を本件建物に設置するなど,本件以前から継続的に被告人らの本件建物に対する権利等を実力で侵害する行為を繰り返しており,本件における上記不正の侵害はその一環をなすものである。
一方,被告人とBとの間には同(6)のような体格差等があることや,同(5)のとおりBが後退して転倒したのは被告人の力のみによるものとは認め難いことなどからすれば,本件暴行の程度は軽微なものであったというべきである。そうすると,本件暴行は,被告人らの主として財産的権利を防衛するためにBの身体の安全を侵害したものであることを考慮しても,いまだBらによる上記侵害に対する防衛手段としての相当性の範囲を超えたものということはできない。
以上によれば,本件暴行については,刑法36条1項の正当防衛として違法性が阻却されるから,これに正当防衛の成立を認めなかった原判決は,事実を誤認したか,同項の解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、正しいです。