刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1105

乙:They're all revved up and ready to go

 

出典:

Ramones – Blitzkrieg Bop Lyrics | Genius Lyrics

 

感想:ドイツ人は英語が上手らしい。

 

 

今日の問題は、新司法試験プレテスト民法第28問3と4です。

 

Aは,Bの代理人と称するC(30歳)との間で,B所有の甲土地を買い受けるとの売買契約を
締結したが,BはCが無権代理であったと主張して争っている。この事例に関する(中略)

3.配偶者のいないBが死亡し,Bに子C及びDがいた場合,Dが追認を拒絶していても,Aは,Cに対し,甲土地の共有持分2分の1について,所有権移転登記手続を求めることができる。
4.Aにおいて,Cが無権代理人であることについて善意かつ無過失であれば,Cに故意又は過失がなくても,Cに対し,甲土地の転売で得られたはずの利益の賠償を請求することができる。

 

甲先生、よろしくお願いします!

 

こ、甲先生!?

 

甲:ぷーずー。。

 

乙:3について、最判平成5年1月21日は

 

「無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において、無権代理行為
を追認する権利は、その性質上相続人全員に不可分的に帰属するところ、無権代理
行為の追認は、本人に対して効力を生じていなかった法律行為を本人に対する関係
において有効なものにするという効果を生じさせるものであるから、共同相続人全
員が共同してこれを行使しない限り、無権代理行為が有効となるものではないと解
すべきである。そうすると、他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をしている
場合に無権代理人が追認を拒絶することは信義則上許されないとしても、他の共同
相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部
分においても、当然に有効となるものではない。
 以上と同旨の見地に立って、被上告人Bが無権代理人としてした本件譲渡担保設
定行為の本人であるDが死亡し、被上告人Bが他の共同相続人と共にDの相続人と
なったとしても、右無権代理行為が当然に有効になるものではないとした原審の判
断は、正当として是認することができる。」

 

と、判示しています。

 

4について、民法117条1,2項は

 

「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。」

 

 と、規定しています。

 

最判昭和62年7月7日は

 

「 民法は、過失と重大な過失とを明らかに区別して規定しており、重大な過失を要件とするときは特にその旨を明記しているから(例えば、九五条、四七〇条、六九八条)、単に「過失」と規定している場合には、その明文に反してこれを「重大な過失」と解釈することは、そのように解すべき特段の合理的な理由がある場合を除き、許されないというべきである。そして、同法一一七条による無権代理人の責任は、無権代理人が相手方に対し代理権がある旨を表示し又は自己を代理人であると信じさせるような行為をした事実を責任の根拠として、相手方の保護と取引の安全並びに代理制度の信用保持のために、法律が特別に認めた無過失責任であり、同条二項が「前項ノ規定ハ相手方カ代理権ナキコトヲ知リタルトキ若クハ過失ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキハ之ヲ適用セス」と規定しているのは、同条一項が無権代理人に無過失責任という重い責任を負わせたところから、相手方において代理権のないことを知つていたとき若しくはこれを知らなかつたことにつき過失があるときは、同条の保護に値しないものとして、無権代理人の免責を認めたものと解されるのであつて、その趣旨に徴すると、右の「過失」は重大な過失に限定されるべきものではないと解するのが相当である。また、表見代理の成立が認められ、代理行為の法律効果が本人に及ぶことが裁判上確定された場合には、無権代理人の責任を認める余地がないことは明らかであるが、無権代理人の責任をもつて表見代理が成立しない場合における補充的な責任すなわち表見代理によつては保護を受けることのできない相手方を救済するための制度であると解すべき根拠はなく、右両者は、互いに独立した制度であると解するのが相当である。したがつて、無権代理人の責任の要件と表見代理の要件がともに存在する場合においても、表見代理の主張をすると否とは相手方の自由であると解すべきであるから、相手方は、表見代理の主張をしないで、直ちに無権代理人に対し同法一一七条の責任を問うことができるものと解するのが相当である(最高裁昭和三一年(オ)第六二九号同三三年六月一七日第三小法廷判決・民集一二巻一〇号一五三二頁参照)。そして、表見代理は本来相手方保護のための制度であるから、無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反するというべきであり、したがつて、右の場合、無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張することはできないものと解するのが相当である。
 そうすると、無権代理人の責任は表見代理が成立しない場合の補充的な責任であ
るとの見解に立つて、民法一一七条二項の「過失」を悪意に近いほどの重大な過失
に限られるものと解し、本件においては右の重大な過失が認められないとして、上
告人の前示抗弁を排斥した原審の判断には、同法一一七条の解釈適用を誤つた違法
があるというべきであり、右違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである
から、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、被
上告人に同条二項にいう過失があつたか否かの点につき更に審理を尽くさせる必要
があるから、これを原審に差し戻すのが相当である。」

 

最判昭和32年12月5日は

 

「無権代理人の民法一一七条による損害賠償責任は履行に代わるべき損害の賠償責任であって、所論の如く信頼損害の賠償に止まるべきものと解すべきでなく、また、不法行為による賠償責任ではないから三年の消滅時効を以って律すべきであるとの論旨も採り得ない。」

 

と、判示しています。

 

 

したがって、上記記述は、3が誤りで、4が正しいです。