刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1820

乙:今日の問題は、新司法試験平成18年公法系第6問カです。

内閣は,A国との間で,相手国から引渡請求を受けた犯罪人を相互に引き渡す義務を課す犯罪人
引渡条約を締結した。ところが,内閣が事後にその承認を国会に求めたところ,国会は,引渡義務の対象から自国民が除外されていないことを理由に,引渡義務の対象から自国民を除外するとの条項を付して,その犯罪人引渡条約を承認するとの議決をした。このような事態に関する(中略)
カ. 条約は国会の議決を必要とする一種の法律であるから,後法優先の原則により,新たな条項
の付された条約は国内法として効力を持つことになる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Blank face gazing shamefully

出典:https://genius.com/Elliott-power-move-dust-lyrics

感想:アルクによると、blank faceは、うつろな顔という意味です。


乙:「条約は相手国との合意によって成立するものであるから、国会の修正といっても、内閣を一応義務づけるにとどまる。したがって、①事前承認の手続で修正が行われた場合、内閣が相手国と交渉して国会の修正を実現するよう努力しても相手国がそれに応じなければ、国会の承認が得られなかったことになるので、条約は不成立となり、②事後承認の手続で修正が行われた場合、内閣が成立した条約の改定を申し入れても相手国がそれに応じなければ、条約はそのまま成立することになる。②の場合、修正が重要事項か広汎にわたるものであるときは、内閣は不承認とみなすこともできると解される。その場合の条約の効力については、本文⑶を参照。」

芦部信喜『憲法 第四版』299頁

「⑶ もっとも、「事後に」(つまり、署名によって成立する条約は「署名後に」、批准によって成立する条約は「批准後に」)国会の承認が得られなかった条約の効力については、①法的には有効に成立し、ただ、内閣の政治責任が生ずるのみであるとする説、②国内法的には無効であるが、国際法的には有効であるとする説、③国内法的にも国際法的にも無効であると解する説、④国会の承認権の規定の具体的な意味が諸外国にも「周知の」要件と解されているような場合には、国際法的にも無効であるとする説など、種々の見解が対立している。
 この対立の当否の判断は難しいが、条約承認権の意義を重視しつつ、国内法と国際法とのバランスをとる④説(条件付無効説)が最も妥当であると思われる。」

同298頁


したがって、上記記述は、明らかに誤っています。