刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 1860

乙:今日の問題は、司法試験平成29年民法第27問アイオです。

A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合に関する(中略)
ア.本件売買契約が締結された時に,Aが甲土地を他の者に譲渡する意思がなく,BがAから
甲土地の所有権を取得することができない場合であっても,本件売買契約は有効に成立する。
イ.Bが死亡し,AがBを単独で相続したときは,Aは,Cに対し,甲土地の売主としての履
行を拒むことはできない。
オ.Cが本件売買契約の締結時に甲土地の所有権がBに属しないことを知らなかった場合において,Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは,Cは,甲土地の所有権がBに属しないことを知った時から1年以内に限り,本件売買契約を解除することが
できる。

甲先生、よろしくお願いします!
こ、甲先生!?


甲:Standing brick by brick
Together we stick
To make something bigger

出典:https://genius.com/Squirrel-flower-roadkill-lyrics

感想:アルクによると、brick by brickは一つ一つという意味だそうですが、ここでは一人一人でしょうか。


乙:アについて、最判昭和25年10月26日は

「他人の物の売買にあつては、その目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従つて売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合であつても、なおその売買契約は有効に成立するものといわなければならない、この事は民法が他人の権利を目的とする売買についてはその特質に鑑み同法五六一条乃至五六四条において、原始的不能の場合をも包含する特別規定を設け、前示一般原則の適用を排除していることに徴して明らかであろう。」

と、判示しています。


イについて、最判昭和49年9月4日は

「権利者は、相続によつて売主の義務ないし地位を承継しても、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有し、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右売買契約上の売主としての履行義務を拒否することができる」

と、判示しています。


オについて、民法542条1項1号は

「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。」

同法166条1項は

「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」

と、規定しています。


したがって、上記記述は、アが正しく、イとオが誤りです。