刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 507

乙:今日の問題も、2問あります。

各事例について,甲に適用される法律を判例の立場に従って検討し,旧法が適用される場合には1を,新法が適用される場合には2を選びなさい。
エ.甲は,乙所有の自動車を窃取した後,同自動車を乗り回していたが,窃取後,乗り回している間に窃盗罪の法定刑を軽くする改正法が施行された。
オ.甲は,乙を殺害後,乙の死体を遺棄したが,殺害後,死体を遺棄する前に殺人罪の法定刑を軽くする改正法が施行された。
(参照条文)刑法
第6条 犯罪後の法律によって刑の変更があったときは,その軽いものによる。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:

イメージ 1


出典:https://store.line.me/stickershop/product/4828/en

乙:エについて、刑法235条は

「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」

と、規定しています。

状態犯(中略)は,構成要件的結果発生により犯罪が成立した後,法益侵害状態は継続するが,即成犯と同様に,犯罪成立と同時に終了する犯罪をいう。窃盗罪(235条)がその例であり,財物の窃取・占有の移転によって犯罪は成立するが,その後は財物が窃取された状態が継続するにすぎないため,犯罪は継続的には成立せず,犯罪成立と共に終了するものと解されている。」

山口厚『刑法』30頁


オについて、刑法45条前段は

「確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。」

同法54条1項後段は

「犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。」

同法199条は

「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」

と、規定しています。

大判昭和9年2月2日は

「人ヲ殺シ其ノ死体ヲ損壊シタル行為ハ殺人及死体損壊ノ併合罪ヲ構成スルモノニシテ牽連犯ト為ルヘキモノニ非ス」

と、判示しています。

即成犯とは,構成要件的結果発生により犯罪が成立するが,それと同時に終了する犯罪をいう。殺人罪(刑199条)がその例であり,結果発生により法益は消滅するため,犯罪が直ちに終了することが明らかな場合である。」

山口厚『刑法』29頁


したがって、上記記述は、エもオも2です。