刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

刑事裁判の歴史と展望あれこれを広めます https://mementomo.hatenablog.com/entry/39862573

しほうちゃれんじ 553

乙:今日の問題は

判例の立場に従って検討した場合,甲,乙及び丙が,互いに意思の連絡をすることなく,同一の機会にそれぞれAに暴行を加えて怪我をさせたところ,その怪我は,乙又は丙いずれかの暴行によるものであり,甲の暴行によるものではなかった。Aがその怪我により死亡した場合,乙及び丙には傷害致死罪が成立し,甲には傷害罪が成立する。

甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?


甲:もちろんくろのぶりげーとはおすすめだし、なんどでもいくといいよ。


乙:刑法60条は

「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」

同法207条は

「二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。」

と、規定しています。

最判昭和26年9月20日は

「傷害致死罪の成立には傷害と死亡、との間の因果関係の存在を必要とするにとどまり、致死の結果についての予見は必要としないのであるから、原判決が所論傷害の結果たる致死の予見について判示しなかつたからといつて、原判決には所論理由不備の違法は存しない。されば、論旨第一点は名を憲法違反に籍りて、その実、理由なき訴訟法違反の主張に帰し刑訴四〇五条に定める上告の理由にあたらない。また、原判決は本件傷害致死の事実について被告人外二名の共同正犯を認定せず却つて二人以上の者が暴行を加え人を傷害ししかもその傷害を生ぜした者を知ることできない旨判示していること原判文上明らかなところであるから、刑法二〇七条を適用したからといつて、原判決には所論の擬律錯誤の違法は存しない。」

と、判示しています。

したがって、上記記述は、誤りです。