刑事裁判の歴史と展望あれこれ💖

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しほうちゃれんじ 745

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今日の問題も、2問あります。

イ.政党の処分が党員の一般市民としての権利利益への侵害となり得る場合においても,その処分の当否の司法審査は,政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り,その規範に照らし適正な手続にのっとってされたかどうかの範囲で行われる。
ウ.地方議会における自律的な法規範の実現については,内部規律の問題として自治的措置に任せるのが適当であるが,数日間に及ぶ議会への出席停止の懲罰は,議員の重大な権利行使に対する制限であり,単なる内部規律の問題に止まらないから,司法審査の対象となる。


甲先生、よろしくお願いします!

こ、甲先生!?

甲:かまくらうどん。ね!


イについて、最判昭和63年12月20日は

「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないというべきであり、他方、右処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であつても、右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則つてされたか否かによつて決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。
本件記録によれば、被上告人は前記説示に係る政党に当たるということができ、本訴請求は、要するに、被上告人と上告人との間で、上告人が党幹部としての地位を有することを前提として、その任務の遂行を保障する目的で上告人に党施設としての本件建物を使用収益させることを内容とする契約が締結されたが、上告人が被上告人から除名されたことを理由として、本件建物の明渡及び賃料相当損害金の支払を求めるものであるところ、右請求が司法審査の対象になることはいうまでもないが、他方、右請求の原因としての除名処分は、本来、政党の内部規律の問題としてその自治的措置に委ねられるべきものであるから、その当否については、適正な手続を履践したか否かの観点から審理判断されなければならない。そして、所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができ、右事実関係によれば、被上告人は、自律的規範として党規約を有し、本件除名処分は右規約に則つてされたものということができ、右規約が公序良俗に反するなどの特段の事情のあることについて主張立証もない本件においては、その手続には何らの違法もないというべきであるから、右除名処分は有効であるといわなければならない。」

と、判示しています。


ウについて、最大判昭和35年10月19日は

「 思うに、司法裁判権が、憲法又は他の法律によつてその権限に属するものとされているものの外、一切の法律上の争訟に及ぶことは、裁判所法三条の明定するところであるが、ここに一切の法律上の争訟とはあらゆる法律上の係争といら意味ではない。一口に法律上の係争といつても、その範囲は広汎であり、その中には事柄の特質上司法裁判権の対象の外におくを相当とするものがあるのである。けだし、自律的な法規範をもつ社会ないしは団体に在つては、当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを適当としないものがあるからである。本件における出席停止の如き懲罰はまさにそれに該当するものと解するを相当とする。(尤も昭和三五年三月九日大法廷判決―民集一四巻三号三五五頁以下―は議員の除名処分を司法裁判の権限内の事項としているが、右は議員の除名処分の如きは、議員の身分の喪失に関する重大事項で、単なる内部規律の問題に止らないからであつて、本件における議員の出席停止の如く議員の権利行使の一時的制限に過ぎないものとは自ら趣を異にしているのである。従つて、前者を司法裁判権に服させても、後者については別途に考慮し、これを司法裁判権の対象から除き、当該自治団体の自治的措置に委ねるを適当とするのである。)
されば、前示懲罰の無効又は取消を求める本訴は不適法というの外なく、原判決は結局正当である。なお、所論は違憲を云々するが、その論述するところは、ひつきよう叙上と異る見解に立脚して原判決を非難するものであつて、採るを得ない。」

と、判示しています。


したがって、上記記述は、イが正しく、ウが誤りです。